安心で快適、そして気軽。太平洋フェリーで大海原へ
強化された感染症対策
2020年初の船旅は太平洋フェリー「きそ」の仙台〜名古屋だった。7月の4連休のことである。10カ月ぶりのフェリー旅は、正直、驚きの連続だった。「これがウィズコロナ時代のフェリーかぁ」。何度も乗った船なのに、まるで初めて乗ったような新鮮な心持ちが常にしたものである。
●感染症対策の工夫に満ちた船内
乗客は自分も含めて全員がマスクを着用している。もちろんクルーも。クルーの中には、手袋を着用している人もいる。そして船内各所に手洗い用のアルコール消毒液が置かれていた。
案内所カウンターやショップのレジは飛沫感染を防止するため、透明な仕切りが設けられている。カウンター前の床にはソーシャルディスタンスを示す足跡マーク。パブリックスペースのソファやテーブルの約半数に「この席は利用できません」という×印が掲示されていた。
「きそ」乗船の直前、レストランではバイキングが再開された。ただし当然ながら以前よりも感染症対策が強化されていた。乗客は皆、手袋の着用が義務付けられていて、ビニールカーテン越しに料理をとる。テーブルや座席も半分ほどは利用制限があり、ゆったり座れた。
食事が終わると、クルーは使用済みのテーブルを念入りに消毒する。ダイニング以外のエリアでも、共有部分の手すりなど、船内各所をこまめに消毒するクルーの姿が目に付いた。
また、「いしかり」「きそ」のスタンドコーナーも通常営業を再開していた。ただし、名古屋〜仙台間の昼に行われていた焼きたてパンの販売は、当面の間休止となっていた。
不特定多数の乗客が寝泊まりする2等和室の利用は定員の半分以下におさえ、カーテンを設置し、それぞれの間隔をあけて対策している。大浴場の利用も人数制限が設けられ、「きそ」にしかないサウナの利用もできなくなっていた。キッズルームでは玩具や絵本の貸し出しは中止。だが、「同一家族で時間制限あり」など条件付き利用はできる。ただし、船長服を着た記念撮影はできない。