飛鳥Ⅱで感じた安らぎ、見つけた新たな楽しみ
客室に入ると、ベッドの上に船のかわいいタオルアートにロクシタンのハンドクリーム、そして「手指消毒にご協力ありがとうございます」のメッセージを見つけた。早速、「飛鳥Ⅱ」らしい気遣いが伝わってくる。
乗船したのは、飛鳥Ⅱが約3ヶ月ぶりに運航再開した真夏のクルーズだ。新たな感染症対策として、出航の数日前に加え、乗船当日もPCR検査があった。その結果を待つ時間がやや長くも感じられつつ、2度のPCR検査を経ての飛鳥Ⅱへの乗船。乗客全員が同じ検査を経た空間はまさに“飛鳥バブル”であり、その中で過ごせる旅への安心感は大きい。
定刻の17時に横浜を出港。デッキでバンドの生演奏としゃぼん玉が舞う中、日曜日とあって多くの見物客も手を振って見送ってくれ、出航への気持ちが高まった。真夏らしい真っ青な空の中、飛鳥Ⅱはベイブリッジをくぐり、伊豆諸島に向かってゆっくり進んでいった。
最初のディナーはフォーシーズンダイニングルームにて。以前と変わった点が、食事の提供時間がこれまでより短縮されたこと。そしてこれまで同様、同室でないと同じテーブルに座ることはできない。たとえ乗客全員がPCR検査を2度受けても、感染症対策が徹底されているのが直に感じられた。
ウェルカムドリンクは、アルコール入りとノンアルコールから選べ、いずれも見た目が美しくさっぱりした味わい。アミューズ、前菜など次々と運ばれて食べていく中で、魚コースの「シマアジのグリル アサリのスープ仕立て」が、レモンのピールとオイル、コリアンダーを添えて食べるたびに味が変わり、絶品だった。メイン料理でおすすめという「黒毛和牛のローストとラタトゥイユ 柚子胡椒風味」は肉の柔らかさが絶妙で、デザートの「苺とバニラアイスのミルフィーユ メロンのナージュ」でのミルフィーユのサクサク感とアイスの味わいも完璧。食事時間の短縮を感じさせない手際よい提供の仕方もさすがだった。
●新たな夜の楽しみ、「アスカバル」登場
一方、新たなサービスとしてリドカフェでの「アスカバル」が開始された。クルーによる生ハムやチーズのカッティングサービス、小皿に盛られた刺身やそばなどの和食やデザートなど、目を奪われるプレゼンテーションでずらりと並ぶ。しかもそれぞれの量が少なめなので、気になった料理を好きなだけ、気軽に味わうことができた。ビールやワイン、日本酒と合う料理も多く、特にカットしたての生ハムとチーズは香りも高くておいしい。このバルとディナーは時間帯的に両方楽しむこともできるため、以前よりもお得感や楽しみ度が増した気がした。
どの食事の際も、座席と乗客のクルーズカードをまず紐づけていた。着席するとウエイターがスマートフォンを手にクルーズカードとテーブルに設置されたチップをスキャンする。非接触なのに加えて行動履歴も残り、万が一の体調不良が起きた際などにも有効活用できる仕組みという。