コロナ渦での地中海クルーズ乗船記
【Vol.3イタリアの心が詰まったコスタクルーズのフラッグシップ編】
日本からコスタクルーズの「コスタスメラルダ」の地中海クルーズに参加した体験をレポートする。
写真・文=藤原暢子
●イタリアの魅力でいっぱい、コスタクルーズのフラッグシップ
環境に優しい液化天然ガス(LNG)を使った初の客船として、2019年12月にデビューした「コスタ スメラルダ」。コスタクルーズのフラッグシップである同船は、コスタ船隊の中でも最大。同社の特徴である “イタリアらしさ”を随所に取り入れた、魅力いっぱいの客船だ。
まずは「食」。
朝と昼は4つの好きなレストランで基本はビュッフェ、夜は決められたレストランでコース料理となる。乗船して最初にいただいた夕食から、そのクオリティに驚いた。イタリア料理だが前菜からルッコラの乗ったカルパッチョなどが出てきて、味付けも盛り付けも絶妙だ。メニューはスマートフォンでQRコードを読み込むが、どんなものか詳しく知りたければウエイターがきちんと説明してくれる。驚くのは、基本は新鮮な素材がメインだが、冷凍したものを使っている場合は、それも分かるようになっていることだ。
お昼のビュッフェをのぞいてみると、こちらもびっくり。サラダからパン、デザートも種類が多い。魚料理だけでも4種類ほど違う魚が違う料理法で並んでいる。パスタなどはその場で仕上げてくれるので、食べたい量だけ熱々をいただける。とにかく新鮮で種類が豊富でおいしいので、食べすぎてしまいそうになる。このクオリティならばクルーズ代金の含まれるレストランで十分満足してしまう。ところが、また違う“食の誘惑”も待ち受ける。
●ソールフードからミシュランシェフ監修までユニークで多彩な食体験
同船には有料のレストランもいくつかあるが、そのバリエーションが実にユニーク。イタリア人がこよなく愛する「ヌッテラ」の店(クレープやワッフルに塗ってくれる)、船上で作るジェラートショップ、ピザ職人が生地から窯焼きまで行うピッツェリア、そしてベニス地方の小皿料理(スペインのタパス料理に少し近い)とワインで、夕食前のひと時をゆっくり過ごせるバー(フランスのアペロ的にも使える)……と、イタリアの食がさまざまに体験できる。
そのほかにも屋外やプールサイドにはビーガン向けのサラダやフルーツの店や、ハワイ発祥でマグロやサーモンを小さく切って味付けしたものに、塩や醤油、海藻などをトッピングしておかずや丼ぶりのように食べる「POKE(ポケ)」の店など、健康志向なレストランも並ぶ。しかもテイクアウトも可能だ。寿司バーと鉄板焼きもあるが、フュージョンの鮨がかなり研究されていて、クルーズ中に何度かお世話になったし、どちらも混んでいた。
そして見逃せないのが、日本語で「多島海」の意味を持つレストラン「アーキペラゴ」。ここではイタリア、スペイン、フランスのミシュラン星を持つシェフ3人の料理が食べられるのだ。流木などを使った落ち着いたレストランで、気になるシェフのコースをどれも49ユーロで食べられる。美食の国々のトップシェフの料理が味わえる絶好の機会だ。ちなみに通常のレストランの、毎晩の前菜も上記の3人のシェフが監修している。
乗船した時はまだ使用されていなかったが、本格的なキッチンが並ぶ「ラボ」もあり、コスタ スメラルダの食はまだまだ未知数としかいいようがない。