お得に気軽に「お一人さまクルーズ」する方法
「一人でのんびり行きたいけど1室2名分はちょっと財布に響く」など、
さまざまな理由でお一人さま願望が急上昇中。
それぞれの悩みを解消するお一人さまクルーズの方法を探った。
編集=クルーズ編集部
お一人さまの初クルーズなら日本船がお得&安心
多くの外国客船が2名一室利用の客室をシングルで使う場合、200%(2名分)かかるのに比べると、日本船は意外にお得。
クルーズや客室にもよるが、ミニマムで120〜130%から※。デラックスやスイートなど上級客室は200%の場合も多いが、シンプルな客室でこの追加料金は魅力的。「にっぽん丸」には日本船唯一の「デラックスシングル」客室もある。同じデラックス・ルームのカテゴリーと比べると特に安くはないが、一人用に造られた客室でゆったり過ごせる。
日本船によるお一人さまクルーズのメリットはクルーズ代金に加え、他の乗客が日本人ということ。客室は別でもディナーではお一人さまが集まるテーブルで知り合いになったり、イベントで知り合ったりと、日本語なのでコミュニケーションも簡単。船上で過ごす間に友情が芽生え、次回も同じクルーズに乗ることを約束したり、お一人さま同士仲良くなれば、「次回は同じ客室にしましょうか」という展開にもなる場合もある。
例えば以前「飛鳥Ⅱ」が約40日間かけて行った「オセアニアグランドクルーズ」は参加者の29%がお一人さま参加だったとか。これなら友人を作って洋上時間をゆったり過ごせるはず。「ぱしふぃっく びいなす」では「シングル利用代金特典」を設定したクルーズも。
また船内の過ごし方や質問に答えてくれるコンシェルジュ的なスタッフが常駐しているのも、きめ細やかな日本船ならではだ。
元オーシャンライナー系はお一人さま客室も充実
大西洋横断を定期的に行ってきたオーシャンライナー系の客船会社は当時の需要の流れをくみ現在もシングル客室を設けているところが多い。
日本でも人気が高いキュナード・ラインは「クイーン・メリー2」は海側のみ、「クイーン・エリザベス」と「クイーン・ヴィクトリア」の2隻には内側・海側のシングル客室を15室ずつほど設置。これらの客室は2名一室利用の2名分代金とそれほど金額は違わないものの、一人仕様でのびのび過ごせるので好評。人気があるのでシングル客室を狙うなら早めの予約が必須だ。ちなみにこれはブリタニア・クラス。クイーン・グリルやプリンセス・グリルだとシングル利用は全て200%になる。
ホーランド・アメリカ・ラインのピナクル・クラスである「コーニングスダム」と今年12月就航の「ニュースタテンダム」には海側のシングル客室を設置。こちらもクルーズ代金は1名分でなく、それなりの割り増しだが、競争率は高くなりそうだ。
現在、日本での販売代理店はないが、英国のP&Oクルーズも各船にシングル客室がある。
オーシャンライナーではないが、サガクルーズもシングル客室があり、130%~での利用も可能だ。2019年就航の新造船「スピリット・オブ・ディスカバリー」や2020年就航予定の「スピリット・オブ・アドベンチャー」には十分な数のシングル客室が。
これらの客船は船内も落ち着いていて一人旅もしっくりくる。またダンスホストも乗船しているのでダンス好きの方は相手に困らないという点もありがたい。
最新メガシップにもシングルルームが続々登場
2010年に就航した「ノルウェージャン・エピック」(ノルウェージャン・クルーズライン)に登場したのはお一人さま用にデザインおよび価格設定された同社初のシングル客室「ストゥーディオ」。同カテゴリーの乗客のみが利用できるラウンジも備えて話題になった。その後、就航した「ノルウェージャン・エスケープ」「ノルウェージャン・ブリス」「ノルウェージャン ・ブレイクアウェイ」「ノルウェージャン・ゲッタウェイ」、既存船の「プライド・オブ・アメリカ」にもストゥーディオが取り入れられている。
カジュアル客船は友人や家族でわいわいと乗るものというイメージに違う選択肢を与えた客船だ。
同じくカジュアル客船であるロイヤル・カリビアン・インターナショナルでも最新船の「ハーモニー・オブ・ザ・シーズ」には海側のシングル客室、「シンフォニー・オブ・ザ・シーズ」には内側シングル客室が設けられている。
同行者とタイミングを合わせてクルーズを楽しむよりも、アクティビティー満載の客船ゆえに、一人で遊び尽くしたい!というニーズもあるのだろう。
ノルウェージャン・クルーズラインもロイヤル・カリビアン・インターナショナルもユニークな施設が多く、レストランなどの数も多いので、「さびしい」などと思う暇はない。休暇が取れたらストゥーディオでさっとクルーズへ。
ただし、どの船もこのタイプの客室は数が少なく、人気も高いので、早めの予約が必要だ。
ちなみにセレブリティクルーズの「セレブリティ・エッジ」にもシングル客室がある。
ラグジュアリー客船は心と予算に余裕を持って利用を
小~中型船でオール・インクルーシブ制のラグジュアリー客船はシングル向け代金の設定はほとんどなし(シーボーン・クルーズやウインドスター・クルーズは175%という場合もあり)。
それどころか、友達と乗船したとしても、客室は別々に取る人が多いという。
ラグジュアリー客船でお一人さまクルーズをするなら、クルーズ代金のことは考えず、とことん一人の時間をゆっくり過ごしたいという人が多いのだろう。
一方で、ラグジュアリー客船ならではの強みはクルーの多さとほどよい乗客定員。バトラー付きの船や客室を選べば、さまざまなリクエストは聞いてくれるし、世間話や用事にも付き合ってくれる。また気持ちに余裕のあるスタッフや乗客たちも良き話し相手になってくれるはず。乗客はリピーターが多いので新しい乗客には親切に接してくれるのもありがたい。
本当に一人静かに過ごしたい時はフルコースのディナーを客室に運んでくれるのも、ラグジュアリー客船の良さ。
元オーシャンライナー系の船会社と同様、シルバーシー・クルーズやシーボーン・クルーズなどはダンスホストが乗船しており、ディナーを一緒に食べたり、ダンスのお相手もしてくれるので、女性でも心細いこともないだろう。
完全に一人でのんびり上質な時間を過ごしたいなら、熟練のスタッフに囲まれつつ、希望に合ったサービスを受けられるラグジュアリー船でのお一人さまクルーズの選択肢も“あり”かもしれない。