ミュージック・クルーズ主催のMightyCrownインタビュー
――レゲエ界の雄が企てる、「この楽しさをカルチャーごと日本に持ってきたい!」
「FAR EAST REGGAE CRUISE」が行われる。チケット販売開始数時間で複数の客室が完売になり、関係者にも衝撃をもたらしている。
主催するのは、横浜を拠点に世界で活動するレゲエ界の雄・Mighty Crown(マイティー・クラウン)。
日本最大規模のレゲエフェス「横浜レゲエ祭」を開催、世界のチャンピオンを決めるDJプレイの戦い・サウンドクラッシュで
8回の世界チャンピオンを勝ち取り20を超える優勝トロフィーを獲得するなど、前人未到の軌跡を残す彼らが、新たにクルーズへ挑む。
Mighty Crownのマスタ・サイモン(MASTA SIMON)氏、サミ・ティー(SAMI-T)氏にインタビューを実施、
彼らがクルーズへ挑戦する真意について聞いた。
(文・写真:北野啓太郎)
CRUISE編集長・吉田絵里(以下、――) レゲエをメインにした音楽イベントを、なぜクルーズ船で「FAR EAST REGGAE CRUISE」として開催しようと思ったのでしょうか。
マスタ・サイモン氏(以下S、敬称略) ダミアン・マーリー(*注1)が2014年から主催している「ジャムロック・レゲエ・クルーズ」というマイアミ発着でジャマイカにも寄港するクルーズに、出演者として5回ほど乗ったことがあるんですね。その影響がかなり大きいですね(※2)。
Mighty Crownとして30年間いろいろやってきた中で、クルーズを超える楽しさはなかなかなかったので。「うわー、やっぱこれだよな」って、また惚れちゃったというか、惚れさせられちゃったというか。やってきてよかった、この音楽! って、改めて思えた。
日本でクルーズといえば、年配の方とかリタイアした方の楽しみだと聞いていたので、「だったらもう、カルチャーごと日本に持ってこよう!」みたいな感じですかね。
サミ・ティー氏(以下T、敬称略) 「楽しかった……これは別世界!」っていう経験を共有したいっていうのがありますね。自分達がMighty Crownを始めたのも、もともと海外でサウンドシステムっていう移動式スピーカーを体験して。「これを日本に持って帰って、みんなに共有したい」という思いで活動をスタートして、それが今30年経ってクルーズという形になったっていう感じですかね。
S 新しいことをやりたいっていう自分たちが、常にいるんですよ。
T とにかくフレッシュでいたいっていうのと、あと「これやばくない!?」って言いたいんですよ。この「FAR EAST REGGAE CRUISE」が今年成功したら、みんな絶対やると思うんですよね。
――「ミュージック・クルーズ」という新しいジャンルができそうですよね。
T それをMighty Crownが最初にプレゼンしてんじゃん! って熱くないですか(笑)。
S 日本での第一人者というか、突破口を開いたらおもしろいじゃないですか。クルーズのおもしろさって、年齢関係なく楽しめるっていうところ。それこそこのクルーズにはうちの親も、親の友達も、おじさんも来るって言っているんですよね。赤ちゃんからお年寄りまで楽しめるエンターテイメントってなかなかないじゃないですか。それこそディズニーランドみたいな。
――クルーズの楽しさを伝える媒体をやっている中で、Mighty Crownが「老若男女が楽しめるエンターテインメント」と言ってくれるのは、私にとってはすごく感動的です。
T おじいちゃん、おばあちゃんだけじゃないからね。クルーズは。
S そう、みんなが楽しめる!
(*注1)ダミアン・マーリー(Damian “Jr.Gong” Marley)――レゲエの神様と称されるボブ・マーリーの息子である。グラミー賞を受賞するなど世界的なレゲエ・アーティストとして活動している。
(※2)Mighty CrownのオフィシャルYouTubeには過去の「ジャムロック・レゲエ・クルーズ」をレポートした動画も。その楽しき空気の一端が伝わる
――過去にクルーズを5回経験されて、「老若男女が楽しめる」ということですが、それは具体的にどういう楽しさでしょうか。
T 自分が一番すごいなと感じたことは、家族感。乗っている人たちとの一体感っていうか。すれ違いざまに「ああ、おはよう!」と交わすような。近所の人たちっていうか、皆で同じ空間と時間を共有しているし……。楽しい以外になかったな。ハッピー・バイブス・オンリーですかね。
S 本来クルーズはクルーズだけで楽しめるものじゃないですか。プラス、自分たちがやっているレゲエが入ると、さらに倍くらい楽しくなるというか。
みんなで同じ船に乗るって、運命共同体なんですよね。さらに海の上で好きなアーティストが観られるって、なかなかないと思う。クルーズ船のあの空間で音楽を聴いて、「今日も夕日が綺麗だなあ」とか、「朝日が気持ちいいな」とか。ごはんを食べて、お酒を飲んで、「こんなことってある!?」っていうぐらい楽しいのが「FAR EAST REGGAE CRUISE」。
T あとプレイヤーとして言うと、ステータスですよね。クルーズでアーティストとしてパフォーマンスするっていうのは。日本だったら例えば武道館がステータスだったりするじゃないですか。俺らは武道館の前に、「横浜レゲエ祭(*2)」を横浜スタジアムでやってる時点で、規模はもう超えてるんですけど。クルーズは「ひとつ上に行ったな」みたいな感覚は少しありますかね。
自分が初めてクルーズでプレイしたとき、自分が今ここにいるって、すごく誇りに思いました。しかもこれまで自分らは招待された側ですけど、今度は自分らが主催する立場なので、またちょっと違う感覚もありそうですね。
S 本当にそうですね。もうただ単に楽しいっていうのが一番ですかね。
T アゴが外れちゃうみたいな(笑)。
S 今話したこと全部まとめると、もうただ単に本当に楽しい。音楽って、音を楽しむと書いて音楽じゃないですか。クラブだったり、フェスだったり、ライブハウスだったり、室内・野外いろいろありますけど、海外も含め。きっとこのクルーズを超えるものがないし、本当に楽しいっていうのを伝えたい。
初めて乗船するときのあのワクワク感。「うわ、なんだこれ!」っていうのが6日間も続くとなると、「仕事をしていてよかったな」「生きていて良かったな」って感じると思うんですよね。やっぱ人生って一回しかないから楽しまないと。これ以上ないかなっていうぐらいの楽しい空間を、今年の365日の中の5泊6日間、みんなと一緒に過ごせたらと思います。
――クルーズ初体験の方も多くなりそうですが、持ち物とかどうですか。特に女性はファッションが気になると思います。
S そこは女性目線ではちょっとわからないんですけど(笑)、冬ではないのでトップスを変えるだけでも雰囲気が変わるし。あと昼間はラフな感じで、夜はパーティーに行く感じとか。
T その質問、すばらしいですね! 俺はもうビーサン・短パン・Tシャツで行くかもしれないですけど(笑)。9月中旬で夏気分もあるので、水着も持ってきた方がいいですよね。でもやっぱりオシャレもしてきて欲しいと思うんですよね。ドレッシーでビシッとした感じもいいと思うよね。
S 何をしたいかによって違うんですよね、その人が。「俺はずっとこれでいいや、気楽でいたい」っていう人と、「やっぱ夜はオシャレしたい」って人と。楽しみ方は自由なんで。
T あと、俺の中では荷物は最小限でいう考え方があって。あれこれ持っていきたいと心配になるかもしれないけど、クルーズ船内で買えるものがあるじゃないですか。
S そうだね。船内にもいろいろあるし、自分達もポップアップショップをやることも考えているので、船内での調達もありかなと思いますね。
T それとちょっとしたポシェットやバッグみたいなのは便利だったかな。
S 確かに、ウエストポーチみたいなのはすっごい便利でした。
T あとは羽織りがあるといいかな。
S パッカブルのウインドブレーカーがあると、「Tシャツだとちょっと肌寒くなってきたな」ってときにウエストポーチからサッと出せて便利でしたね。
――海の上は風があって夜は少し寒く感じるので、ビーニー(ニット帽)などもあるといいですよね。
S そうですね。他に何か持っていった方がいいものってあります?
――逆に、持って行った本は読まないですね。テラスやプールデッキで優雅に読書したいと、最初の頃は持って行っていたのですが、全然読まない。船内では他に楽しみが多すぎて。
S なるほど!(笑)
――あと痛み止めなど常備薬があれば持っておくといいですね。船内に医務室はあるけど、普段飲む薬が手元にあると安心なので。
S ほんと海外旅行へ行くノリだよね。インスタグラムとかSNSにアップするのに写真を撮る人も多いので、モバイルバッテリーとスマートフォンの空き容量も欲しいですね。