クルーズ客船の事典、
「クルーズ客船データブック」のとっておきの楽しみ方
世界のクルーズ船社46社・全297隻を紹介している、いわばクルーズ船の事典。
どっしりと重く分厚いこの本には、クルーズ客船の奥深い世界が詰まっている。
総重量は780キログラム超、手で持ってみるとずっしりと重い。総ページ数は実に426ページ、CRUISE誌臨時増刊号「クルーズ客船データブック」には、それだけクルーズ船の今の姿が詰まっている。
この本で紹介しているのは、主に日本で予約申し込みができる船社&クルーズ船と、そして日本の港に寄港予定のあるクルーズ船だ。いわばクルーズ船の事典ともいうべき一冊。しかもこれだけバラエティーに富んだクルーズ船が乗れる、もしくは日本の港で見られる可能性があるということに、まず夢が広がるはず。
2年に一度改訂版を出しいる本書だが、今回の改定は過去にないほど大規模になった。というのもコロナ禍により、他社に移籍した客船があったり、就航予定が変更になった客船があったりと、この2年でクルーズ業界自体が大きな変革を遂げたからだ。とはいえ、掲載しているクルーズ船は2年前に発行した同書の290隻から、今回は297隻に増えている。世界的に見てクルーズ業界自体が委縮しているわけではなく、むしろ右肩上がりの状況は引き続き続いている。
各船社のページは歴史や変革を中心に、各船のページにはその船の概要やデータを記載している。パラパラと眺めているだけでも、一言で「クルーズ船」と言っても、大きいものから小さいものまで、豪華絢爛なものからシンプルなものまで、そのバラエティの豊かさに驚くだろう。
各船に記載している「主要目」には総トン数などそれぞれのデータを記載しているが、ここをじっくりと読み込んでいくと、さまざまなことに気づく。例えば記載している「旧船名」。中には改名を繰り返しているクルーズ船もあり、その数奇な運命に思いを馳せたくなる。ほかにも同じ船社のクルーズ船でも造船所が違っていたり、船籍が違っていたりと、じっくり読み込んでいくと新たな発見が尽きない。
ほかにも同型船でも少しずつ総トン数が違っていたりすることもある。さらに前号をお持ちの方は、総トン数を見比べてみるのもおもしろいだろう。コロナ禍で運航停止中に改装などを行った客船も少なくない。そうした客船は、前号に比べて総トン数が増えていたりすることもあるのだ。
英語では船を女性名詞として扱う。船を指すときにSHE(=彼女)と言う。確かに時にお化粧をするように改装して美しく変身したりするクルーズ船を女性に見立てる気持ちもわからなくない。400ページ超のこの本を手にしていると、それぞれのクルーズ船の個性が感じられ、その世界の奥深さに改めて気づく。
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