【特集:進化するフェリー】上品な船内が好評な「いしかり」ほか3隻を運航/太平洋フェリー
● 「いしかり」が9年連続グランプリ達成
● オリジナルワインをリニューアル
● 「ふたりあわせて100歳キャンペーン」など実施
今年で29回目を迎える本誌の「クルーズシップ・オブ・ザ・イヤー」。そのフェリー部門でグランプリに輝いた、太平洋フェリーの「いしかり」。2012年から、昨年の中断をはさんで9年連続の受賞という快挙をなしえている。
なぜ、太平洋フェリーはナンバーワンを維持し続けることができるのか。その人気の秘密は、まるでクルーズ客船で旅しているような気分にさせられる、さまざまな仕掛けにある。いしかりのコンセプトは「エーゲ海の輝き」。古代ギリシャ神殿を模した展望エレベーターがそびえたつエントランスは、従来のフェリーのイメージを覆す豪華さだ。船内のカラーリングはさわやかなブルーで統一され、エーゲ海をクルーズしているような雰囲気が漂う。
一方、「きそ」のテーマは「南太平洋のしらべ」。タヒチを愛した画家ゴーギャンの作品を思わせる色調が船内全体を彩り、南洋の楽園をほうふつとさせるたたずまいだ。
コロナ禍のため、太平洋フェリーならではのラウンジショーやミニコンサートは休止されているが、ラウンジでの映画上映は再開。洋上での映画鑑賞をじっくり楽しめる。
いしかりおよびきそが就航するのは、苫小牧(北海道)〜仙台〜名古屋と、全行程2泊3日・40時間近くという国内最長の航路だ。船内を十分に堪能できるゆったりとした船旅も、同船の高評価につながる一因ではないだろうか。
そして仙台〜名古屋区間でのハイライトといえば、福島県相馬沖でのいしかりときそのすれ違い(反航)であろう。2隻が汽笛を鳴らしあい、お互いの乗客同士が手を振りあって今後の安航を祈りながらすれ違う。これは船旅、そして太平洋フェリーでしか味わえない旅情であり、醍醐味でもある。
レストランでの食事も楽しみだ。寄港地である北海道・東北・名古屋の旬の食材を生かした料理が並ぶバイキングのお供には、太平洋フェリーオリジナルワインを。昨秋、フルボトルワインがフランスの有名ワイナリー産へとリニューアルし、より一層ディナータイムが豊かになった。また同時に、新型コロナウイルスへの感染予防の一環として、従来の対面販売からレストラン券売機によるアルコール飲料の販売を導入。安心して食事を満喫できるのもうれしい。
苫小牧〜仙台間にはデビュー3周年を迎えた「きたかみ」も就航。同船のテーマは「スペーストラベル」で、ラウンジショーこそ行われないが、宇宙旅行をしているようなプロジェクションマッピングの演出は乗客からも好評を博している。これまでとは異なる新感覚の船で、グランプリ獲得経験のある2隻とはまたひと味違う船旅ができる。
そして昨春から始まった御船印プロジェクトにも太平洋フェリーは参加。それぞれ個性豊かな3姉妹(きそ・いしかり・きたかみ)の御船印をすべてそろえると、太平洋フェリーオリジナルグッズがもらえる。御船印収集を目的に、3隻すべてに乗ってみるのも面白いだろう。「ふたりあわせて100歳キャンペーン」など乗りやすいキャンペーンも随時実施している。
30年間、日本ナンバーワンの人気を守り続ける太平洋フェリー。今年もそれは揺るがない。
SHIP DATA
船社名:太平洋フェリー
運航船:
いしかり(1万5762トン/777人)
きそ(1万5795トン/768人)
きたかみ(1万3694トン/535人)
航路:
苫小牧⇔仙台⇔名古屋/
苫小牧⇔仙台
■公式サイト:http://www.taiheiyo-ferry.co.jp
■予約センター:TEL052-582-8611