クイーン・エリザベス乗船への道
「何を着る?」「何を持つ?」――荷造りと心構え

クイーン・エリザベス乗船への道 「何を着る?」「何を持つ?」――荷造りと心構え
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2022.10.13
クイーン・エリザベスが2023年春、4年ぶりに日本にやってくる。
「いつか一度は乗ってみたい」という人が多い、英国女王の名を冠した客船。
一方で、いざ乗船を考えると、準備段階でのちょっとした不安もつきもの。
今回はドレスコードを筆頭に、クイーン・エリザベスをはじめとしたキュナードの船に乗る際に
持っていきたいアイテムや必需品、服装について考えてみた。
構成=クルーズ編集部 語り手=吉田あやこ イラスト=小田切久仁

 

「何を着ればいいのでしょう」「何を持って行けばいいのでしょう」。キュナードの客船だけでなく、初めてクルーズ船に乗船する人からは、上記のような質問が多く出る。

 

「クイーン・エリザベス」「クイーン・メリー2」「クイーン・ヴィクトリア」の3隻を運航するキュナード・ラインは英国の伝統を受け継ぐ船会社で、現在も古き良き時代の船旅を受け継いでいる。客室カテゴリーによってダイニングが変わったり、ドレスコードやフォーマルなガラ・イブニングがあったり、誰かに聞いた情報や漠然としたイメージを前に、初めて乗船する人や久々に乗船する人は少し不安を覚えるのも無理はない。コロナ禍の影響でドレスを着ていく社交の場なども減ったから、なおさらだ。

 

「ドレスコードと肩肘を張って考えるのではなく、“おしゃれを楽しむ”と考えるといいと思います」と語るのは、クルーズ・アンバサダーであり、弊誌でもしばしばキュナード客船などの乗船レポートを寄稿している吉田あやこさんだ。今回はキュナード乗船歴も長い吉田あやこさんに、ドレスコードを解説してもらいつつ、乗船にあたって準備したい持ち物を聞いてみた。

 

●“結婚式に行くドレスアップ”と“高級ホテルでのランチの装い”

 

キュナード・ラインのドレスコードは現在、夕食時間以降はガラ・イブニングとスマート・アタイアーの2種類に分けられている。コースにもよるが、ガラ・イブニングは1週間のクルーズで2回ほど、あとの日はスマート・アタイアーという設定が多い。

 

「日本語だとフォーマルとスマート・カジュアルという表現が一番近いかもしれません。イメージとしてガラ・イブニングは結婚式に行くようなドレスアップ、スマート・アタイアーは高級ホテルでランチをするときの装いをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか」と吉田あやこさんは語る。

ガラ・イブニングの日は料理やテーブル・セッティングも楽しみだ
タキシードやドレスなど着慣れていない場合は、事前に着用してチェックしたい

 

まずは気になるガラ・イブニングについて。「女性はやはりロングドレスの方が多いです。海外クルーズでは裾を引きずる長いドレスの方も見かけます」。引きずるほど長い裾はトレーンと呼ばれ、フォーマルドレスの一種。なかなか陸上では着る機会がないから、思い切ってキュナード船で挑戦してみてもいい。

 

スカート丈に関しては、「一番着ている方が多いのが足首丈のロングでしょうか。ただ必ずしも長くないといけないというわけではなく、膝丈のカクテルドレスにヒールの靴を合わせている方もいます」。

 

またトップスに関しては、胸元がぐっと開いた、デコルテを出すスタイルのドレスを着用している乗客も多い。一方で「肌を出すのは抵抗があるという方は、例えばジャケットやショールを羽織ったり、首元までレースで覆われているドレスやトップスを着用するといいと思います」。

 

むしろ重要なのは素材だという。「ポイントは、思い切って華やかな素材のドレスを着用してみること。光沢のあるもの、レース素材のもの、スパンコールがついたものなどドレッシーなものを選ぶといいです。カジュアルに見える綿素材のものは避けたほうがいいかもしれません」。

 

フォーマルというとついワンピースを想像してしまうが、ツーピースもおすすめだという。「例えば光沢のある素材のロングスカートが一着あれば、トップスを変えるという着回しもでき、荷物も減らせます」。

 

ガラ・イブニングの装いのイメージ
CRUISE GALLERY
ガラ・イブニングの装いのイメージ

 

ちなみにキュナード船の場合、船内にランドリーがあり、アイロンもかけられる。ただし密を避けるためにも、そしてせっかくのバカンスの時間を削らない意味でも、極力アイロンがけの時間はさけたい。だからこそ、「素材はシワにならず、軽く、汚れの目立ちにくいものがおすすめです」。

レース素材のドレスはシワになりにくく、軽いため船旅向きだ
スパンコールが入ったドレスは形がシンプルでも華やかに見える

 

●小物で遊んで変化を。まずは家の中のアイテム総チェック

 

さらに小物類で“遊ぶ”という提案も。「同じドレスでも、アクセサリーやコサージュ、髪飾りなどの小物を変えるだけでぐっと雰囲気が変わります」。例として吉田さん自身が愛用しているものの中から、和柄のバッグを挙げてくれた。「黒いドレスに和柄のバッグを持つと、バッグがアクセントになって目をひきます」。

 

こうしたドレスや小物に関しては、ハイブランドのものである必要はないし、新品を買う必要もない、と吉田さんは語る。「家には少し派手で、コロナ禍もあってなかなか身に着ける機会のなかったものがきっとあると思います。船旅はそういうものを活用する絶好の機会です」。

 

さらにアクセサリーなどの手作りに挑戦してみるのもいい。「カチューシャに絞り文様の布をクルクルと巻きつけ、そのまま後ろで縛ってヘアアクセサリーにしたことがありました。これだけで船内で『日本人の方ですか?』と何度か声をかけられましたね」。

 

また和服を着たいという方もいるだろう。和服は洋装より重いが、宅急便をうまく利用するなどすればハードルは下がりそうだ。

 

黒留袖(くろとめそで)は格が高いが、「色留袖(いろとめそで)のほうが船内では華やかかもしれませんね。またダンスをする方の中には、あえて振袖を着て華やかに踊られる方もいて、海外クルーズではボールルームで注目を集めていました」。和服には様々なルールがあるが、時にアレンジを加えて自分流に楽しむのもいいだろう。

 

船に持ち込む小物類。和柄バッグに加え、ヘアアクセサリーも
和柄の布をカチューシャに巻き付け、ヘアアクセサリーに
実際に着用した様子。海外クルーズではぜひ和の小物をとり入れたい

 

●タキシード着用率高し! こちらも着回しを

 

一方の男性はというと、「クルーズにもよりますが、ガラ・イブニングの夜のタキシード着用率は高く、8割ぐらいの方が着用されている印象です」。英国ではディナー・ジャケットと呼ばれるものも選択肢のひとつだ。タキシードは黒ものもが一般的だが、ディナー・ジャケットの色や柄で遊ぶ人もいるという。「男性の場合は特に荷物になるので、例えばクルーズ日程の中で2回のガラ・イブニングが設定されているとしたら、持っていくタキシードは1着で、ボウタイとポケットチーフを変えて変化をつけるといいと思います」。

 

タキシードが必須かというとそうではなく、ブラックスーツという選択肢もある。この時もいわゆるネクタイではなくボウタイにするという手もある。いずれにせよ「結婚式に出席できるようなスーツが一着あれば、どの船でも着られます。悩んだときは、タキシードや礼服を扱うお店に行って、実際に見て参考にするといいと思います」。またレンタルするというのも選択肢のひとつ。小物まで一式を、希望する期間借りられるサービスもある。

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