これからキュナードに乗りたい3つの理由
「クイーン・メリー2」英国クルーズ乗船レポート
キュナード・ラインのフラッグシップ「クイーン・メリー2」の船内は、かつての自由な空気を取り戻していた。
これからの時代、キュナードに乗るべき理由をひも解く。
9月6日から英国の船社キュナード・ラインは新型コロナウイルスの規制を緩和した。今回参加したクルーズではワクチン接種は必要だが乗船前検査は不要。「ウィズコロナ時代」のクルーズはどうなっているのか。ヒースロー空港から車で南へ約一時間、サウサンプトン港から乗船してみた。
クルーズは水もの、とはよく言ったものだ。どの客船でも、航海ごとにコロナ規制が変更する可能性がある。例えば今回乗船したクルーズのマスク着用はクルーのみで、乗客はイルミネーションとシアター以外の場は義務なし。しかし次航は大西洋を横断し米国やカナダへ行くため、全員マスクが必要になるという。
乗船前もクルーズ中も、検温や検査は不要である。しかしクルーは定期的に検査を受け、安全なサービスを提供していた。乗客数は約2300人で、2021年11月のクルーズ再開以降、最多を記録したという。「密」を避けるため避難訓練やパーティー、寄港地ツアーの前集合はなかった。
●魅力的な3つの理由
創立182年のキュナード社は現在3隻の客船を運航中だ。運航する客船すべてに英国の女王名を冠している船社は他にない。「クイーン・メリー2(以下QM2)」はその代表となるフラッグシップ。来春日本発着が予定されているのは「クイーン・エリザベス(QE)」、そして数多くの欧州クルーズを実施しているのは「クイーン・ビクトリア(QV)」。近ごろ人気が高まっているのはなぜだろう。全船で以下が注目されている。
1.エリザベス女王のメモリアルな品々
2.クルーズを通して衣食住の英国文化が楽しめる
3.コロナ疲れをラグジュアリーに癒やせる
●エリザベス女王のメモリアル
9月19日に行われた女王の国葬は世界人口の半分以上になる約41億人がテレビなどで見たという。
葬儀の日、同社の3隻は午前中のイベントを中止し、弔意を示した。人々に愛された女王の写真や絵画などがどの船にも豊富にあるのでぜひ訪ねてみたい。ご崩御3日目に乗船したのでユニオンジャックの半旗が見られ、乗客はお悔みの記帳をする機会があった。
QM2とQEはエリザベス女王によって命名され、QVは新しいカミラ王妃が名付け親になっている。どの船でも女王の写真や肖像画と記念撮影できるだろう。
●衣食住の英国文化が楽しめる
衣に関して、服装規定は現在ふたつ。おしゃれをする「ガラ・イブニング」(フォーマル)と「スマート・アタイアー」(スマート・カジュアル)だ。
ロングドレスやタキシード姿の英国人と一緒にクルーズすると、海外クルーズらしさが感じられるもの。今後の参考になるし、着飾った人々を見るのは楽しいものだ。意外にもカジュアルの夜にドレスアップする人が多かった。男性の場合カジュアルの夜でもレストラン入室にジャケットが必要となる。
食では、英国といえばアフタヌーンティーが有名。QM2では選択肢が多く、ビュッフェやクイーンズ・ルーム、グリルズ・ラウンジ(上級客室用)で本場のクロテッドクリームを添えたスコーンがいただけた。豪華版はゴディバ(有料、14・95USドル)やシャンパン・アフタヌーンティー(35USドル)も。
残念だったのはパブランチを諦めたこと。居酒屋パブは英国人にも人気で入れなかった。ビールを飲みながらダーツで遊ぶのは次回にとっておこう。レストランで食べた英国風のパイはサクサクで美味だった。トレンディなベジタリアン料理だ。茸をパイ皮で包んで焼いたもので付け合わせの野菜も多い。QM2特製ジンを使ったカクテルはフルーツ風味で、飲みやすい味だと思う。