和の文化薫る『飛鳥座』クルーズで
日本の本物と和食に酔いしれる週末
気持ちよく晴れた金曜の午後、横浜港大さん橋では出港を待つ飛鳥Ⅱが迎えてくれた。今回は、『飛鳥座』と銘打ち、日本の伝統芸能や文化を伝えていこうという飛鳥Ⅱで初めての試みとなるテーマクルーズの記念すべき第1回目となる。
誕生のきっかけは飛鳥クルーズアンバサダーを務める小山薫堂さんのBSフジのテレビ番組『小山薫堂 東京会議』で、同郷の石川さゆりさんのデビュー50周年を盛り上げようという企画があり、その中で石川さんと飛鳥クルーズのコラボレーションが実現したのだという。船内では、和の心を歌い上げる石川さんのスペシャルステージをはじめ、食事や船内イベントなど、和を意識した企画が散りばめられているとのことで、期待が高まる。
いよいよ出港という時間になり、夕暮れのデッキに出てみなとみらいの夜景を眺めていると、『津軽海峡・冬景色』が流れ始め、歌に合わせるようにシャボン玉が次々と飛んでいく。その風景はまるで津軽海峡に舞い散る雪のようだった。続いて『天城越え』が流れると、出港を知らせるドラが打ち鳴らされ、飛鳥Ⅱはゆっくりと横浜港大さん橋の岸を離れていった。真っ赤に染まる夕焼けとみなとみらいの建物に灯る明かりがキラキラと輝いて、息をのむほどの美しさだった。
■華々しく幕を開けた『飛鳥座』クルーズ
出航後、2層吹き抜けになった「アスカプラザ」でオープニングセレモニーが行われた。司会を務めるクルーズディレクターのあいさつに続き、『飛鳥座』クルーズの座長・石川さゆりさんが和装で登場。アスカプラザに集まった乗客たちから「待ってました!」と声が聞こえてきそうなほど、盛大な拍手で迎えられた。今クルーズが実現するに至った経緯や、どんな企画や展示が用意されているかなど、明日が待ち遠しくなるような話を聞くことができた。
セレモニーの最後は、『飛鳥座』クルーズの初航海を祝して、スパークリングワインをオープン。ウエイターが登場し、石川さゆりさんの「飛鳥座、開幕です!」の掛け声に合わせて栓が抜かれ、温かな拍手に包まれた。久々に感じる高揚感に、ますます期待が膨らんだ。
その日のディナーは、フレンチのフルコース。セレモニーで開けたスパークリングワインが食事のスタートの1杯としてサービスされた。「サーモンのマリネ」や「いさきのアクアパッツァ」、「黒毛和牛のロースト」をオリジナルワインとともに堪能。最後に供されたデザートで、早速、『飛鳥座』クルーズらしさを体験した。
「ホワイトチョコ舞う 青森県産紅玉のキャラメリゼ ウイスキー香るアイスクリーム」は、石川さゆりさんの『ウイスキーが、お好きでしょ』の曲にちなんで、「角瓶」とバニラアイスを合わせたアイスクリームがメインに。豊かな香りとコクが感じられ、リンゴの皮をレモン汁でしっかりソテーしたソースとの相性もすばらしい。サクサク感と塩味がほどよいクランブルクッキー、キャラメリゼされた紅玉のビターな風味……、多彩な味覚と食感が楽しめる極上の一皿だった。