今までは「カーニバル・~」と名付けられるのがお決まりだった
カーニバル社の客船。そのルールを排した新造船「マルディ・グラ」には
その名からも大きな期待と決意が込められている。
同社初のLNG客船、18万トン級次世代シップ
「マルディ・グラ」の名は、カーニバル社の創業者が1972年に最初に手に入れ、カリブ海クルーズに乗り出した“始まりの船”そのもの。2021年、新造船に再びその名を冠し、初心に立ち返り新しい時代を歩み出す。
「ファン・シップ」のキャッチフレーズを掲げ、誰もが楽しめるクルーズを開拓してきた同社の功績は大きい。カーニバル・クルーズ・ラインを筆頭に、今や10のクルーズブランドを展開する世界最大のカーニバル・コーポレーションは、環境配慮への取り組みにも真っ先に着手した。
温室効果ガスの排出が少ない液化天然ガス(LNG)を採用し、傘下のアイーダ・クルーズに2018年、次いでコスタクルーズに2020年、次世代客船を相次いで就航させた。平行してLNG燃料船の運航に必要な燃料供給のオペレーションなどのノウハウを蓄積。いよいよ2021年、看板ブランドのカーニバル・クルーズ・ラインにLNG燃料船第1船を投入する。
18万トン級の「マルディ・グラ」は、エクセレンス・クラスの第1船。これまで13万トン級までの船隊を展開していた同社にすると、飛躍的なサイズアップとなる。ひと目見た時のインパクトは絶大だ。船尾最上階に、波打ち渦巻くレールがぐるりと240メートル続いている。二人乗りの小型電動コースターが、海上50メートルを時速60キロ超で疾走する絶叫アトラクションで、洋上初登場と期待も大きい。
カーニバルの客船はこれまで、その名の通り、乗客皆で楽しめるように船内インテリアも原色使いで、若年層やファミリーにも広く受け入れられ成長してきた。一方、この10年間は既存船隊で大改装を相次いで実施、大人専用エリアを新設してニーズの多様化に応えてきた。
マルディ・グラでは、スイート客室180室中32室に新たなプレミアム・カテゴリー「カーニバル・エクセル」を設定。最上階には同社が“人里離れた別天地”と称する屋外エリア「ロフト19」がお目見えし、この32室の乗客だけが出入りできる。
グルメにも新鮮味を打ち出した。ニューオリンズ出身の人気シェフが船上初進出、「エメリルビストロ1396™」が開店する。
2022年11月には同型第2船の「カーニバル・セレブレーション」が就航予定。今後も目が離せない。
〈SHIP DATA〉
船名:マルディ・グラ(カーニバル・クルーズ・ライン)
就航年:2021年7月
総トン数:18万3200トン/乗客定員:5,282人
全長:337メートル/全幅:42メートル