神戸港/兵庫県「感動をつなぐ海空陸のターミナル」
【特集】美しき港町へ
古くは奈良時代から、自然条件に恵まれた良好としてあった神戸。近代港として1868年に開港するとすぐにロンドン・ニューヨーク・ハンブルクと並ぶ世界四大海運市場となり、繁栄と進化を続けてきた。国際定期航路の充実でも世界に知られ、西日本各地へのゲートウエイとしても大きな役割を担っている。「神戸」という響きには、港エリアの建築群や夜景の美しさ、海外の最先端情報がいち早く届く貿易都市ならではの生活文化、時代を牽引する港町の気風までも、重なって感じられる。それも歴史と港の魅力のたまものだろう。海側から目を上げれば背景は六甲の山並みが、いつも港を見守るように広がる。
クルーズ客船は、主に新港第4突堤にあるポートターミナルと、メリケンパークにある中突堤ターミナルに入港。ポートターミナルは、いつも賑わいの絶えない神戸の中心でJR駅のある三宮や神戸空港「マリンエア」にポートライナーで直通。中突堤は、「メリケンパーク」や「神戸ポートタワー」、モザイク大観覧車のある「神戸ハーバーランドumie」、「神戸海洋博物館」など、市民も観光客も集まる人気スポットに囲まれている。
その神戸港にはフェリーポートも3つあり、ポートターミナルからは上海と結ぶ日中国際フェリー、神戸三宮フェリーターミナルからは宮崎カーフェリーと小豆島・高松行きのジャンボフェリーが発着。さらに神戸市東部の六甲アイランドにある神戸六甲フェリーターミナルからは大分行きフェリーさんふらわあ、北九州行き阪九フェリーが発着している。
クルーズターミナル、新幹線の新神戸駅、JR三ノ宮駅、神戸空港…… 海空陸の交通アクセスが結び合い、連携するベイエリアは移動もラクラク。この便利さに魅かれて「神戸での乗船・下船」を選ぶ地方からのクルーズ乗船客も多い。
そこで、フライ&クルーズで神戸港発着のクルーズに参加する乗船客のための「手荷物輸送サービス」がいま、実証実験中。神戸に着いたら、手ぶらでゆうゆうと街歩きを楽しんで前泊ホテルへ。ホテルからクルーズターミナルへも、大きな荷物はポーターサービスに任せて移動できて、便利このうえない。
ハイセンスなファッションや雑貨、極上の神戸ビーフ、和洋中よりも幅広い各国料理のレストラン、激戦区で味を競い合うスイーツ、港と船の歴史が育んだパンなど、ショッピング、グルメ、そしてさまざまな体験コンテンツに満ちた神戸は、まさにあこがれのクルーズ拠点であり、港。乗船前や下船後に行ってみたいスポットやグルメが多いだけに、クルーズ客に特化した新サービスの本格稼働に期待が高まっている。
港周辺の再開発も進み、新しい施設や見どころが次々と誕生している神戸。世代を超えた神戸ステイの楽しみをクルーズの前後泊でゆっくり味わってみたい。
ポートターミナルのある新港エリアの神戸ポートミュージアム内に2021年秋にオープンした「átoa(アトア)」は、新感覚の都市型水族館。舞台美術やデジタルアートが融合する劇場型アクアリウムで、「生命のゆらぎ」「和と灯の間」など、各ゾーンのテーマに沿った60基のデザイン水槽が配されている。最新技術が創り出す非日常の世界では、ワクワク感に浸って時間を忘れそうだ。
中突堤エリアのメリケンパークでは、「BE KOBE」のレターモニュメントのライトアップとLED照明を駆使した噴水広場のショーが夜間のお出かけ&撮影スポットとして有名。
さらに、少し西側の兵庫には、2022年11月「県立ミュージアム」がグランドオープンしている。兵庫津は、古代のと呼ばれたところ。中世以降は兵庫津と呼ばれ、瀬戸内海の要港として平清盛の日宋貿易や足利義満の対明勘合貿易を支えた、いわば兵庫県発祥の地。海外交流のはじまりの時代を知ってみたい。