新時代の開幕を告げる、フェリーさんふらわあの
LNG燃料第1船「さんふらわあくれない」乗船レポート
フェリーさんふらわあから就航した、日本初のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない」に乗船した。
別府港に新しいターミナルが現れた。これまで慣れ親しんできたターミナルから少し北側にある。
新ターミナルには、フェリーさんふらわあ大阪~別府航路で今年1月13日にデビューしたばかりの新造船「さんふらわあ くれない」が停泊している。瀬戸内海を夜間に航行する船舶では最大の船長(199・9メートル)というだけあって、その大きさにまずは圧倒された。
船尾にはLNG(液化天然ガス)燃料タンクがふたつ、配備されている。「さんふらわあ くれない」は日本初のLNG燃料フェリー。硫黄酸化物をほぼ排出せず、窒素酸化物は約85パーセント・二酸化炭素の排出を約25パーセントと大幅削減する「環境にやさしいフェリー」なのだ。
従来のターミナルではスペースの問題でLNGバンカリングができない。そのため、新造船デビューと同時に別府新ターミナルが開業したのだった。
乗船が始まる。新造船に一歩足を踏み入れたとたん、驚かされる。アトリウムがこれまでのフェリーと比べ、とてつもなく広がりのある、開放的な空間に感じられたからだ。それもそのはず、定員一人あたりの内装面積が、別府航路の従来船の6・9平方メートルに対して新造船は10・9平方メートルへと拡大しているという。展望大浴場の面積も2倍、レストランの席数も1・5倍と、ゆったりした船旅を送れそうだ。
さらに強烈な印象を受けたのが3層吹き抜けのアトリウム。吹き抜けのアトリウムは、昨今のフェリーでは珍しくない。しかし「さんふらわあ くれない」では、別府の伝統工芸である竹細工をイメージした欄干に、従来のフェリーにはなかった上質感が漂う。
そして乗客を迎え入れるプロジェクションマッピングの演出。これは同社の志布志航路に就航する「さんふらわあ さつま・きりしま」デビューと同時に、日本で初めて旅客船に取り入れたものだ。
しかし「さんふらわあ くれない」のそれは最上階にあるスクリーン(これも竹細工をイメージ)に文字が映し出されたり映像が大きく鮮明だったりするなど、明らかに進化を感じる。上り便ということもあり、目的地である大阪の観光スポット(大阪城、通天閣、海遊館など)が映像で紹介されているのも、これから始まる船旅への高揚感をかきたてる。
船内の装飾やデザインに、和のテイストがふんだんにちりばめられているのも印象的だ。「にっぽん丸」で感じるような上品かつたおやかな芳香。それが、この船内をも包んでいるのだ。「さんふらわあ くれない」はこれまでのフェリーのイメージを完全にくつがえす、最先端の「カジュアルクルーズフェリー」なのだ。