2025年の日本発着、そして新造船「クイーン・アン」も
要人に聞く、キュナード・ラインの未来
同船を運航するキュナード・ラインの北米・オーストラレーシア地域コマーシャル担当副社長である
マッド・グリーヴス副社長に2024年の日本発着クルーズの手ごたえと、同社の今後の展望を聞いた。
――2024年にキュナード・ラインは「クイーン・エリザベス」で日本発着クルーズを実施、日本人を中心に多くの乗客を乗せて日本をめぐりました。その成果はいかがでしたか?
マット・グリーヴス氏(以下M) 2023年がパンデミック後の初めての日本発着クルーズだったこともあり、2024年シーズンは大きな手ごたえを感じました。乗客の皆さまの満足度もとても高かったです。それまでに船内でご提供する体験に関して改善を重ねてきた成果が出ました。
春のシーズンは桜を見る目的で、イギリスやアメリカ、オーストラリアといった国々からのお客さまが多く集まり、国際色豊かなクルーズになりました。
その後は、ゴールデンウィークのクルーズや「ビッグバンド」をテーマにしたクルーズでは日本人のお客さまに多くご乗船いただきました。船上で次のクルーズを予約したお客さまが多く、日本のマーケットが着実に成長している印象を受けました。
――キュナード・ラインのクルーズの魅力のひとつに、船内で行われる社交ダンスパーティーがあります。
M ボールルームでのダンスは、日本人のお客さまにはとても人気がありますね。専属のバンドがいて、生演奏をバックに踊ることができるというのも人気の理由です。ダンスパートナーやプロのダンサーも船上におり、ダンスのレッスンも行っていて、参加される方は多いですね。
またドレスアップを楽しむ「ガラ・イブニング」を楽しみにされるお客さまも沢山いらっしゃいました。タキシードやカクテルドレスを着てディナーを楽しむことができる特別な空間も、キュナード・ラインの特徴です。
――長崎県の佐世保港ではクイーン・エリザベスの寄港に合わせて、大きなお祭りが行われました。
M お祭りには非常に多くの市民が参加したと聞いています。多くの方にクイーン・エリザベス、「キュナード・ライン」の名前を知っていただく機会になったことをうれしく思いますし、私自身、この船会社で働ける喜びも感じます。
――2025年に関しては、日本向けにはどのようにプロモーションしていますか? 2025年は再びクイーン・エリザベスで春に日本発着クルーズを6本実施します。ただ2026年に関しては、北米に拠点を移すため、日本発着クルーズのスケジュールは今のところありません。
M 2025年シーズンは非常に好調です。予約状況は、去年の同時期よりも良く、早いスピードで予約が埋まっています。すでに満室になったクルーズもあります。
2024年4月には新しいウェブサイトも立ち上げ、キュナード・ラインの日本語ウェブサイト(Cunard.com)からオンラインでの予約が可能になりました。オンライン経由で世界一周クルーズを予約されるお客さまもいらっしゃいます。
もちろん旅行会社を通じての予約も歓迎しています。多くの選択肢を設けることで、さまざまな需要に応えていきたいと思っています。
――日本発着の予定がない2026年についてもお聞きしたいと思います。日本人の乗客にはどの地域やどのクルーズがおすすめでしょうか。
M キュナード・ラインは4隻の船で世界中を航海しています。日本人のお客さまに人気なのは欧州、それも4~7日程度の短いクルーズが人気ですね。ただ一方でそれ以上の長いクルーズに乗船されるお客さまもいらっしゃいます。
キュナード・ラインは英国のサウサンプトンからニューヨークまで、「クイーン・メリー2」で伝統的な大西洋横断航路に就航しています。この伝統的なクルーズもぜひ体験していただきたいですし、2024年には新造船「クイーン・アン」も就航し、地中海やアラスカなど、さまざまなコースをご用意しています。もちろんキュナード・ラインの船で世界一周クルーズをすることも可能です。2026年にぜひ、こうした様々な選択肢をご検討いただければと思います。
――新造船「クイーン・アン」には、多くのキュナード・ファンが期待しているのではないでしょうか。
M はい、クイーン・アンはキュナード・ラインの伝統を受け継ぎつつ、革新的な側面を持った船です。ボールルームで生バンドの演奏をバックにダンスすることはもちろん可能ですし、英国スタイルのパブ「ゴールデン・ライオン」もあります。
一方で、開閉式の屋根を備えたプールが新たに登場したり、インド料理や地中海料理、そして創作和食のフルコースが楽しめる新たなレストランも登場し、食の選択肢が増えました。ウェルネスに特化したカフェも誕生するなど新たな施設も導入しています。ぜひこの新しい客船を日本の皆さまにもご堪能いただければと思っています。