ラグジュアリーなリバー船で、自然息づくアマゾン川を航く
アクア・エクスペディションズ「アクア・ネラ」乗船記【前編】
ラグジュアリーなサービスと、美食の国ペルーの料理を提供する
アクア・エクスペディションのリバー船「アクア・ネラ」でアマゾン川クルーズに出かけると、
時にそれは正しく、時にそれはイメージであることがわかった。
まずは乗船地イキトスの風景から、乗船、そしてアマゾン川散策の【前編】を。
●前泊で乗り入れるとそれほど秘境でない「アマゾン」
ペルーのアマゾン地帯を流れるマラニョン川とウカヤリ川が合流してアマゾン川と呼ばれるところに30万人都市であるイキトスがある。源流は南アメリカ大陸の西側にあるアンデス山脈だ。今回のクルーズの発着港であり、日本からの場合、ペルーの首都リマまで飛行機で行き、国内線に乗り換えて行く。
夜明け前に飛び早朝に到着したイキトスは南半球の盛夏に入る季節、そして赤道の近くで、感覚的にはシンガポールや真夏のバリ島のような暑さだった。とはいえアマゾンといえば湿度の高いジャングルのイメージだったが、乾期の空気はそこそこ快適なのには驚く。ただ陽差しは赤道直下の強さだ。
空港からイキトスの中心までは30分ほど。タクシーもあるが、地元の交通手段を使うのが好きなので、まずはトゥクトゥクに乗ってみた。イキトスでは単純にモトと呼ばれている。中心地に到着すると、立派な建物が多い。これらはアマゾンを開拓してバナナやゴム農園で一財産稼いだ豪農が建てたものだという。
●アマゾンの都市イキトスの食と市場
日本人からすると「アマゾン」という語感自体、「未開の地」をイメージさせるが、実際にはヨーロッパ的なレストランが多く見られる。それらは100年前に農地開拓で成功した商人の住居跡で、老朽化に伴い放置されていた建物が修繕されて、カフェやレストランになっていたりしている。
一方、いわゆるローカルマーケットは旅先の生活を知る最適の場所だ。見た目あまりきれいな市場ではないが、肉野菜が豊富に置かれ、定食屋さんも売り場に隣接して、地元のおじいちゃんおばあちゃんが食べていた。主菜は魚が多いようで、生魚、焼き魚のお店が多い。
●前泊に最適なホテル、「ホテル・モレイ」
今回前泊したのが、かつてイキトスの中心地近くで放置されていた豪邸のひとつである、モレイ邸。ゴム農園で大成功したモレイ氏が1913年に竣工した邸宅は、その後銀行になったり、ペルー大学として使われたが、その後しばし放置されていた。
2010年にフロリダ大学を退任してペルーにやってきた地政学者のボドマー教授が、建物の価値を再発見し、建物を維持管理するためにホテルとして私財を投じてリノベーションした。宿泊料金から考えられない広さのキッチン付きの客室や中庭に面したプール、やはり広すぎるロビーとレストランは、単に泊まるところではなく、大農園主の生活を追体験する空間といえる。
イキトスの見どころは街の中心に集まっていて、1日あれば十分に見られる。朝モレイホテルで朝食を済ませたら、トゥクトゥクに乗ってベレン市場を見て回り、川沿いのマレコン・タラパカ通りにある、アマゾン歴史博物館やイキトス博物館へ行きたい。お昼はアマゾン・ビストロか屋上階にプールのあるラ・テラサス・イキトス(食事をするお客さんはプール無料)でアマゾンを眺めながらのんびり過ごし、午後の陽差しが弱くなったらアナコンダお土産市場を歩こう。夕暮れ時には隣のフローティングバー、サビータでサンセットを眺めて過ごすのがすばらしい体験だろう。
アマゾン最大の都市は、意外に東南アジアに似ている。それも10年くらい前の。自動車も走っているが、主な交通手段はトゥクトゥクだった。今どきタイでも観光用以外でトゥクトゥクはあまり走ってないが、ここでは健在だ。そこにカラフルなスペイン風の建物が並び、ノスタルジックで個性的な街の雰囲気を醸し出していた。
実際に食べてみて間違いなくおすすめできるレストランは、「カサ・デ・フィエッロ(Casa De Fierro)」。値段は日本と同じくらいと安くはないが、料理は絶品だった。ペルー料理、ロモサルタード(牛肉ステーキご飯)、セビッチェ、スープなどすべておいしいというのは、なかなか体験できないレベルの高さだ。
ちなみにこのレストランは、アクアエクスペディションの指定にもなっていたので、結局2度行くことになった。イキトスで食べ物に困ったらここで間違いはない。
もしクルーズ出航当日にイキトスに到着する場合、イキトス空港の預入荷物を受け取るエリアにアクアエクスペディションのカウンターがあるので、迷うことはまったくない。