季節の美食と文化に出会う、にっぽん丸の日本一周クルーズ
夏の名残りの夕日に照らされながら、にっぽん丸は横浜を出港した。最初の寄港地、北海道の函館を目指して、太平洋を北上。夜には満月に近い月が上り、ひと足早く船上から中秋の名月を楽しんだ。
3日目の朝、船は函館に入港した。この日は函館の名所めぐりのバスツアーに参加した。函館山展望台で、函館の街や函館湾の絶景を見晴らす。遠くの北海道駒ヶ岳のとがった山頂までよく見えるのはラッキーだと話す人もいた。
ランチに向かった先は、カレー好きとして楽しみにしていた、老舗五島軒のカレー店が入る五稜郭タワーだ。ここで提供されたのは「イギリス風カレー」。さわやかなスパイスが効いた中辛のビーフカレーだった。ほかのカレーも気になりつつ、満席の混雑ぶりに、店の人気を実感した。
その後、タワーの地上90メートルの展望台から大きな星形の城塞、五稜郭を見学し、赤レンガ倉庫地区にも寄って船に戻った。
その夜は船内メインダイニング「瑞穂」のメニューに北海道の松前漬けと函館産のさぶりメロンが登場し、ご当地の味を楽しんだ。
佐渡で手作りのおもてなし
翌日は新潟県、佐渡島に到着。朝から通船で上陸し、「佐渡島の食と文化体験」ツアーに参加した。通常の観光地めぐりとひと味違う、にっぽん丸ならではのプレミアムツアーだ。最初に佐渡魚市場を訪問し、生簀で元気に泳ぐアオリイカを見たり、イカ釣り漁船などを間近で見たり。ここから佐渡の魚介が築地や全国に届けられるとの説明を聞いた。
ランチには、佐渡の新鮮な魚介づくしの手料理がふるまわれ、感動的においしかった。水揚げされたばかりのボタンエビの刺身、アオリイカそうめん、のどぐろの刺身の炙り、スルメイカめし、佐渡のコシヒカリ米を用いたちらし寿司などを味わい、「おいしいわ」とツアー客が口々に、佐渡の豊かな海の幸を絶賛していた。
また、佐渡はトキの生息地として知られるが、トキが清らかな水の環境を必要とすることに合わせ、水を大切にする米作りの田んぼも見学。そのお米を用いたおにぎりとお団子をいただき、そこでほおばる体験も楽しいものだった。
ツアーでは酒蔵も訪問。佐渡の有名な酒蔵の一つ、尾畑酒造で日本酒を試飲し、お土産に蔵元限定の生原酒を買えたのが、酒蔵訪問ならではのうれしい収穫だ。 最後は日吉神社を訪れ、佐渡の伝統芸能、迫力ある鬼太鼓を鑑賞した。そして、帰り際にはなんと、近くで見るのは難しいとされるトキを数羽、神社の木の枝の上に見ることができた。まさに佐渡の食と文化体験ができた満足のツアーだった。