今こそギリシャへ!
ギリシャの船社セレスティアルで満喫する
憧れのエーゲ海クルーズ

今こそギリシャへ! ギリシャの船社セレスティアルで満喫する 憧れのエーゲ海クルーズ
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2024.11.06
エーゲ海は世界の誰もが知るクルーズのメッカだ。ギリシャ神話の神々が今も息づくこの海を船で巡ってみたいと長いこと願っていた。2024年は日本とギリシャの文化観光年そして外交関係樹立125周年である。この記念すべき年に、ギリシャのクルーズ船「セレスティアル・ジャーニー」でエーゲ海の島々を巡る機会に恵まれた。
写真=田村浩章 文=冨永真奈美
パルテノン神殿は古代ギリシャのドーリア式とイオニア式建築様式が融合した建造物だ。ペンテリコン産の白大理石で造られ、正面に8本、側面に17本の柱を持つ周柱式の構造である。人間の目に水平に見えるよう、隅の柱を太くするなど視覚補正を施し、視覚芸術としての価値を究極まで高めたモニュメントである

乗船日の前日、アテネに入りパルテノン神殿を訪れた。いつもより早く厳しい暑さが訪れていたが、神殿ある丘の頂上は古代ギリシャ建築と美術の最高傑作を見んとする観光客で埋め尽くされている。「ギリシャの栄華と権威を象徴する遺跡なんだよ」と、隣のギリシャ人は誇らしげに言う。

 

ギリシャはかつて地中海貿易の中心地として、東西南北の異文化から影響を受けてきた。だからだろうか、サフラン色の太陽で褐色に染まった白壁の様子も相まって、タクシーから見えるアテネの街並みはどこか混沌としたエキゾチックな魅力にあふれている。そこに突如として浮かび上がったのは目にも鮮やかな白とコバルトブルー。ピレウス港に停泊するセレスティアル・ジャーニーだ。これから巡るエーゲ海を思わせる圧倒的なウォーターイメージに高揚感が湧いてくる。

 

早速乗船し船内を散策した。そこにもエーゲ海の世界観がはっきりと表れている。フロアや壁面は主にブルーと濃紺色。波や貝殻を思わせる流線形や、ギリシャ芸術の象徴とされるメアンドロス模様がふんだんにあしらわれている。青空を見晴らすプールデッキはすでに乗客で一杯だ。みなドリンクを片手に水着でデッキチェアに寝そべり「ハロー!」と陽気に声をかけてくれる。筆者も早速仲間に加わり、ブズーキ(ギリシャの弦楽器)で奏でられるギリシャ音楽を聞きながら出港シーンを楽しんだ。

白とブルーの鮮やかなツートンカラー。どこにいても一目でセレスティアル・ジャーニーだと分かるその姿は、乗客に大きな安心感を与えてくれる
白とブルーの鮮やかなツートンカラー。どこにいても一目でセレスティアル・ジャーニーだと分かるその姿は、乗客に大きな安心感を与えてくれる
リカビトスの丘から望むアテネ市街とアクロポリス。遠方にはエーゲ海に開けたピレウス港を臨む。夕陽に染まる街並みから、古代と現代が交錯する美しさが感じられる
リカビトスの丘から望むアテネ市街とアクロポリス。遠方にはエーゲ海に開けたピレウス港を臨む。夕陽に染まる街並みから、古代と現代が交錯する美しさが感じられる

■ギリシャの船だからこそ巡れる美島の数々

 

セレスティアル・ジャーニーのエーゲ海クルーズでは、アテネやテッサロニキといった大都市をはじめ、クサダシ(トルコ)やクレタ島の他、キクラデス諸島の島々を巡る。サントリーニやミコノスはもちろん、ミロスといった隠れた美島にも行けるのがギリシャの船ならではの醍醐味だ。島巡りの皮切りとなるクレタ島(イラクリオン港)に船が到着した。ギリシャ神話とのゆかりが深いこの島で、オリンポスの最高神ゼウスが生まれその子孫がクレタ文明を築いたとされている。16世紀のヴェネツィア時代に現在の形となったクールス要塞はクレタ名所のひとつ。散歩がてら訪ねてみることにした。

 

要塞は海賊来襲に備えた堅牢な石造りだが、ヴェネツィア様式ならではの優雅さも感じられる。要塞への堤防はすでに観光客であふれ、「地下に財宝が隠されていて、探そうとしたら不幸を招くらしいよ(笑)」と隣にいた観光客が教えてくれた。このように、現実と虚構が入り混じった神秘的な言い伝えがエーゲ海には数多く存在する。それがエーゲ海の魅力を一層引き立てているのだろうと思えた。

 

その夕刻、海賊と財宝へのオマージュとばかりに、船のオリジナルカクテル「Pirate’s Comfort(海賊のお楽しみ)」を注文することに。宝箱に収められたこのカクテルに「すごい!」と周りの乗客も注目し、なんだか人気者になった気がした夜となった。

 

翌朝、船はサントリーニ島に着いた。前方にそびえ立つ断崖絶壁は、紀元前17世紀に起こった火山大噴火によって島の中心が陥没し形成されたものだ。クルーズ船なら麓から断崖絶壁を仰望でき、その険しくも神々しい風景を拝むことができる。

クールス要塞はイラクリオン港から海を右手に見つつ徒歩で約10分圏内にある。入場見学(有料)も可能で、イラクリオンの歴史に関する展示などが楽しめる
クールス要塞はイラクリオン港から海を右手に見つつ徒歩で約10分圏内にある。入場見学(有料)も可能で、イラクリオンの歴史に関する展示などが楽しめる

■これぞエーゲ海!その美しい景観を堪能する毎日

 

そうした自然もさることながら、サントリーニといえば青い屋根の教会と白い壁のおしゃれな街並みが有名だ。そこで人気の街イアを訪れることに。イアのメイン・マーケット・ストリートにはカフェやショップが並び、すでに大勢の観光客が散策を楽しんでいる。細い小道を折れると、その先に目当ての青い屋根が見え、さらにその向こうにはエーゲ海が広がっていた。これまで何度も写真で見た「これぞサントリーニ!」ともいうべき風景だ。隣にいたカップルは「他の青い屋根も見に行こう!」と手をつないで歩き去った。島には大小約600もの教会があり、その内約6割の屋根が青で彩られているという。青い屋根を訪ね歩くのも一興かもしれない。

 

夕方、断崖絶壁の頂上にあるカフェで、世界最高と言われるサントリーニの白ワインからアシルティコを選び飲んでくつろいだ。ついつい長居してもセレスティアルなら大丈夫。どの船よりも遅く出港するので、ケーブルカーが混雑する時間を避けてゆっくり帰船できるからだ。他の船が1隻また1隻と去っていく中、セレスティアル・ジャーニーだけがいつまでも私たちの帰りを待ってくれていた。この日のドレスコードはサントリーニカラーの「白と青」で、みな白や青を取り入れ気軽におしゃれを楽しんでいる。筆者はブルーのワンピースを着てディナーやディスコダンスにいそしんだ。

 

翌日の寄港地はミコノス島である。この日はテンダーボートで観光名所の集まるミコノスタウンへ直行できるというからラッキーだ。まずはキクラデス建築様式の象徴ともいえる、セント・ニコラス教会とパラポルティアニ教会を訪れた。エーゲ海をバックに浮かび上がる白壁と曲線的なシルエットに見惚れてしまう。その後はリトルヴェニスの水上レストランへ。海沿いに並ぶレストランに入り、あの世界の誰もが知っている「カト・ミリの風車」を眺めるためだ。食事時を外した時間なのですんなりと海上に張り出したテラスへ案内され、はたして、あの6つの風車が3D映像のような存在感で目に飛び込んできた!まさにかぶりつき、しかもほとんど貸し切り状態で絶景を楽しんだ。

 

夕刻船に帰ると、これから船主催のディナーツアーへ出かける顔見知りの乗客とすれ違った。水上レストランにも行くという。「日中の風車の写真を送るね」と言うと、「じゃあ夜バージョンを送るね!」と約束してくれた。

建物の塗装に青と白を使用することが法制化されたのは1970年代。エーゲ海に映える青と白のサントリーニカラーは、この島を世界有数の観光地たらしめる要因となった
建物の塗装に青と白を使用することが法制化されたのは1970年代。エーゲ海に映える青と白のサントリーニカラーは、この島を世界有数の観光地たらしめる要因となった
断崖絶壁は海抜約300メートル。その頂上から見えるのは、火山大噴火で形成されたカルデラ湾にクルーズ船が浮かぶ風景だ
断崖絶壁は海抜約300メートル。その頂上から見えるのは、火山大噴火で形成されたカルデラ湾にクルーズ船が浮かぶ風景だ
パラポルティアニ教会の魅力は屋根などに見られる不規則な形状だ
パラポルティアニ教会の魅力は屋根などに見られる不規則な形状だ
セント・ニコラス教会ではギリシャ正教会の伝統的装飾が見られる
セント・ニコラス教会ではギリシャ正教会の伝統的装飾が見られる
ミコノスの街並みは、青と白の他、緑、黄、赤などとてもカラフルだ
ミコノスの街並みは、青と白の他、緑、黄、赤などとてもカラフルだ
アノ・ミリの丘にある風車から、カト・ミリの6基の風車そしてエーゲ海を見渡す。ミコノス島ではかつて風車で小麦や大麦を挽いていた。現在も残る16基の風車をめぐってみるのもおもしろい
アノ・ミリの丘にある風車から、カト・ミリの6基の風車そしてエーゲ海を見渡す。ミコノス島ではかつて風車で小麦や大麦を挽いていた。現在も残る16基の風車をめぐってみるのもおもしろい
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