寄港地でワイナリーをめぐる楽しさ
ギリシャ船社セレスティアルで行くエーゲ海クルーズ7日間【後編】

寄港地でワイナリーをめぐる楽しさ ギリシャ船社セレスティアルで行くエーゲ海クルーズ7日間【後編】
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2024.12.20
エーゲ海クルーズの後半は、クレタ、サントリーニ、ミコノス、ミロスといった美しい島々を巡る4日間となる。
プールデッキで紺碧に輝く海を見ながら日光浴をしていると、まばゆいばかりの夏の太陽が降り注ぎ、
肌がじんわりと温まっていくのが心地よい。冬には冷たい風が吹く日もあるが、
海風によって温度や湿度がうまく調整され、比較的温暖な気候が保たれているという。

こうした地中海性気候を持つエーゲ海の島々は、日照時間や土壌の質も相まって、
ブドウ栽培に最適な環境と言われている。
写真=田村浩章 文=冨永真奈美
船で開催されたワインテイスティング・セミナー

船はクレタ島(イラクリオン港)に着いた。ホメロスの『オデュッセイア』で「四方をワイン色の大海原に囲まれた美しく肥沃な土地」と描かれた島だ。オリンポスの最高神ゼウスが誕生したとされる島でありギリシャ神話とのゆかりも深い。

 

クレタ島
ミノア時代から続くワインの名産地でワインピクニックを楽しむ

 

クレタではギリシャ国内外で高い評価を得ているリララキス・ワイナリー(1966年創業)を訪れることに。港からタクシーで30分、標高約480メートルに位置するこのワイナリーは雄大なラシティ山に囲まれている。ビジターがとても多く、ブドウ畑を見学したりビジター棟や屋外テラスでワインテイスティングをしたりとみなとても楽しそうだ。

ラシティ山のけぶるような稜線が遥か彼方に見える。リララキス・ワイナリーの愛犬ダフニはビジターたちの人気者だ
ラシティ山のけぶるような稜線が遥か彼方に見える。リララキス・ワイナリーの愛犬ダフニはビジターたちの人気者だ

筆者も早速、ソムリエのマノスさんの案内でブドウ畑へピクニックに出かけた。畑にはクレタ固有ブドウ品種博物館ともいうべき区画があり、コツィファリという黒ブドウや、ダフニ、プリト、メリサキなどの白ブドウが植わっている。ダフニ、プリト、メリサキはかつて島のあちこちでひっそりと自生していて絶滅の危機にあったものの、リララキス家が畑でのブドウ栽培とワイン生産を実現し復活させたという。

クレタ固有のブドウ品種がずらり。古くからある固有ブドウ品種はクレタ特有の乾燥した気候に強いため、気候変動に適応することが期待されている
クレタ固有のブドウ品種がずらり。古くからある固有ブドウ品種はクレタ特有の乾燥した気候に強いため、気候変動に適応することが期待されている
リララキス・ワイナリーを訪れたのは6月。ブドウの実がなり始めた頃だ
リララキス・ワイナリーを訪れたのは6月。ブドウの実がなり始めた頃だ
殺虫剤や化学肥料などを使用しない有機栽培を採用しているため、元気なカタツムリがそこかしこに見られる
殺虫剤や化学肥料などを使用しない有機栽培を採用しているため、元気なカタツムリがそこかしこに見られる

それらブドウの息吹を感じながらクレタのワインを味わった。ダフニ(ローレルを意味するギリシャ語)はその名の通り、ローレルの風味と爽やかな酸味が心地よいワインだ。「一度味わえば一生記憶に残るワインですよ」とマノスさんは誇らしげに言う。そういえばワイナリーの愛犬の名前もダフニだったなと思わず笑みがこぼれてしまう。コツィファリ(赤ワイン)はチェリーやスパイスの風味、なめらかなタンニンが魅力的で、赤ワイン好きの筆者は一口で魅了されてまった。クレタの生命とも言うべきワインとともに、ダコスなどのクレタの名物メゼ(前菜や軽食を意味するギリシャ語)を楽しむ特別なピクニック体験となった。

ブドウ畑を眺めながらのピクニック体験は最高だ。ワイナリーCEOのバートさん、PRのカタリナさん、ソムリエのマノスさんとおしゃべりしながらワインを楽しむ
ブドウ畑を眺めながらのピクニック体験は最高だ。ワイナリーCEOのバートさん、PRのカタリナさん、ソムリエのマノスさんとおしゃべりしながらワインを楽しむ
熟成中のコツィファリを樽からサンプラーで抽出し状態を確認する
熟成中のコツィファリを樽からサンプラーで抽出し状態を確認する

船上でワインテイスティング・セミナーに参加
ワインへの造詣を深める

 

その日の夕刻もワインの楽しみが続いた。船で開催されたワインテイスティング・セミナーに参加したのだ。「ワインが大好き!」という乗客が多く、会場は100人に迫る盛況ぶり。色、香り、味わい・・・・・・みんなワイワイ楽しみながらテイスティングを実践している。講師はワインスチュワード(ソムリエ)のパトリックさんである。そういえば、ソムリエの先駆けが現れたのはここギリシャだとどこかで学んだな。そんなことを思いつつ筆者もせっせとグラスを口に運んだ。

テイスティングするワインは船内のバーやダイニングのワインリストから選ばれている。ワインの説明とともにペアリングする料理のアイディアも教えてくれるため、船内のランチやディナーなどですぐに実践できるのがうれしい
テイスティングするワインは船内のバーやダイニングのワインリストから選ばれている。ワインの説明とともにペアリングする料理のアイディアも教えてくれるため、船内のランチやディナーなどですぐに実践できるのがうれしい
セレスティアル・ジャーニーのワインスチュワード(ソムリエ)は乗客に最高のワイン体験を提供してくれる
セレスティアル・ジャーニーのワインスチュワード(ソムリエ)は乗客に最高のワイン体験を提供してくれる
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