商船三井クルーズの34年ぶりとなる新船就航

新たな海を拓く船、MITSUI OCEAN FUJI

新たな海を拓く船、MITSUI OCEAN FUJI
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2025.03.27
商船三井クルーズが「MITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャンフジ)」を新たに就航させた。
ラグジュアリー船として生まれ、これまで世界で活躍してきたクルーズ船がこれから日本近海を中心にどんな道を切り拓いていくのか、期待は高い。
日本語の施設名が付けられた船内に乗船、本誌初の乗船レポートを届けよう。
写真=田村浩章 文=吉田絵里
東京国際クルーズターミナルに入港する「三井オーシャンフジ」。ふたつのファンネル、真ん中の円盤形のガラス天井が特徴的だ。デッキはラグジュアリー船らしく、本物の木材が敷かれている
三井オーシャンフジの象徴的なエリア、船体中央の螺旋階段。命名式の日、階段下では生演奏などが行われていた
三井オーシャンフジの象徴的なエリア、船体中央の螺旋階段。命名式の日、階段下では生演奏などが行われていた
テラスレストラン八葉のテラス席。大海原を満喫しながら食事が楽しめる。船内の飲み物はクルーズ代金に含まれる(一部有料)
テラスレストラン八葉のテラス席。大海原を満喫しながら食事が楽しめる。船内の飲み物はクルーズ代金に含まれる(一部有料)
メインダイニングの「ザ・レストラン富士」は吹き抜けになった高い天井と、スタイリッシュなシャンデリアが象徴的な空間
メインダイニングの「ザ・レストラン富士」は吹き抜けになった高い天井と、スタイリッシュなシャンデリアが象徴的な空間
デッキ7にあるMITSUI OCEANスクエアは、ゲストサービスとカフェ、図書コーナーなどを備えており、気軽に足が向く
デッキ7にあるMITSUI OCEANスクエアは、ゲストサービスとカフェ、図書コーナーなどを備えており、気軽に足が向く

長いクルーズになるほど利便性が高まる
ラグジュアリー船らしい広い客室

 

「にっぽん丸」を運航する商船三井クルーズが、202412月に新たな船「三井オーシャンフジ」を就航させた。そう聞くとにっぽん丸を受け継いだ、いわば「にっぽん丸2」を想像する人も少なからずいるはずだ。私自身、なんとなくそんな予想をしながら乗り込んだが……

 

まず最初に足を踏み入れた客室で新鮮な驚きを覚えた。もともとラグジュアリー船「シーボーン・オデッセイ」として運航されてきた同船は、一番小さいオーシャンビュースイートでも253平方メートルある。最も数が多いベランダスイートは264平方メートルに31平方メートルのベランダが付く。こじんまり落ち着くにっぽん丸に対し、のびのびと過ごせる三井オーシャンフジと、新たな選択肢が増えた。

 

三井オーシャンフジはバハマ籍のため、規制によりクルーズ中一度は海外の港に寄らなければならない。だからデビュークルーズのシリーズでも最短で5日間、20255月に予定されているグランドアジアクルーズは実に66日間と中~長期のコースが中心だ。それこそ66日などロングクルーズになればなるほど、ゆったりとした客室の心地よさが身にしみるはずだ。

 

「広いですねえ!」

 

乗船前に行われた船内見学会で、多くの関係者が声をそろえていた場所がある。客室にあるウォークインクローゼットだ。海外のラグジュアリー船では一般的なウォークインクローゼットだが、同船のものは中でも広め。体の大きい男性も楽に入れるサイズ感だ。

 

このウォークインクローゼットがあるおかげで、長めのクルーズでも荷物に関するストレスは少なかった。ひとまずすべて中に荷物を置いてしまえば、散乱することもなくなる。

 

 

広さのみならず、客室でのサービスもにっぽん丸とは異なる。客室内のルームサービスは24時間無料(アルコールなど一部有料メニューあり)。朝食は洋食・和食のセットメニューが用意されている。特に小さなおかずが様々に並ぶ和食は、さすが日本の船会社だ。

 

客室は7種類あるが、一番多いのがバルコニー付きのベランダスイートだから、滞在中一日はバルコニーでの朝食を楽しみたい。

 

ルームサービスのメニューにはデミグラスソースで煮込んだハンバーグなどに加え、そば・うどん、そして「紅鮭のり弁」までしっかりした食事がある。試してみたら、鮭はちょうどいいふっくらとした焼き加減。にっぽん丸ではメインダイニングで夜食の提供があったが、これに代わるものとして客室内での楽しみが増えた。

最も客室数が多いベランダスイート。ゆったりしたソファに加え、テーブル&イスもあり、書き物や仕事もできる。インターネットサービスも入っているため、仕事をしながらクルーズも夢ではない。背後にはツインベッドが置かれていた
最も客室数が多いベランダスイート。ゆったりしたソファに加え、テーブル&イスもあり、書き物や仕事もできる。インターネットサービスも入っているため、仕事をしながらクルーズも夢ではない。背後にはツインベッドが置かれていた
客室カテゴリーは7つ、これは最上級のMITSUI OCEANスイートのベランダ部分。一般的なスイートでもバルコニー部分は3平方メートル以上あり、ゆったりと食事がとれる
クルーズの初日には、ブルゴーニュ産のスパークリングワイン&スイーツのサービスがあった
クルーズの初日には、ブルゴーニュ産のスパークリングワイン&スイーツのサービスがあった
多数の洋服をかけられるウォークインクローゼット。バスローブやスリッパもここにある
多数の洋服をかけられるウォークインクローゼット。バスローブやスリッパもここにある
紅鮭のり弁とごま団子のルームサービス。温かく、ちょうどいいサイズ感なのがうれしい
紅鮭のり弁とごま団子のルームサービス。温かく、ちょうどいいサイズ感なのがうれしい

多彩なメニューの数々
世界の料理を一船で味わう

 

さらに三井オーシャンフジは食の選択肢も多彩だ。特に新鮮に感じたのは、ビュッフェレストラン。富士山頂部の8つの峰を指す「八葉」から名付けられた「テラスレストラン八葉」は、お米や味噌汁といった和食のほか、各国料理が充実していた。とある日は欧州のドイツやハンガリーの名物グラーシュが並んでいた。中華料理やイタリア料理、寿司など、その日によって料理のテーマが設けられていることもある。

 

「毎晩ビュッフェに来ても飽きないように、メニューは毎日違うものを出しています」と、にっぽん丸でもおなじみの中山勝利総料理長。だからここは毎日通っても飽きない。八葉の名の通り、多彩な世界の料理が味わえるのだ。

 

このテラスレストラン八葉では夜は寿司メニュー(予約制有料)も味わえる。乗船したクルーズでは活況を呈していた。

 

ちなみに多くのクルーがおすすめのスポットとして挙げていたのが、船尾のテラス席。屋根もあり、大海原を眺めながら料理を味わうひとときは、まさにクルーズならではの醍醐味だろう。

 

そしてメインダイニングの「ザ・レストラン富士」では、にっぽん丸同様に洋食・和食のフルコースを提供。にっぽん丸との違いは、一部二部制と時間が区切られているわけではなく、フリーシーティングであること。

 

乗船したクルーズでは特選和食と題し、「茹でズワイ蟹」「牛肉のカニみそのせ焼き」などカニ尽くしのコース料理が出た日もあった。「食材に関して、気を遣っています。やはりラグジュアリー船らしい、上質な食材を仕入れています」と中山総料理長。

席がゆったりと配置されたテラスレストラン八葉。後方には航跡が眺められるテラス席もある
席がゆったりと配置されたテラスレストラン八葉。後方には航跡が眺められるテラス席もある
にっぽん丸でおなじみのローストビーフもメインダイニングの一皿として提供されていた
にっぽん丸でおなじみのローストビーフもメインダイニングの一皿として提供されていた
関連記事
TOPへ戻る
シェアアイコン