港から訪れる新潟
日本海の美しき港町をゆく

県内には、平安時代から歴史のある「新潟港」、寄港地として期待が高まる「直江津港」に加え、
昨年「佐渡島の金山」が世界文化遺産に登録された佐渡島には
「小木港・両津港・二見港」の3つの港があり、クルーズポートとしても改めて注目を集めている。
今回は、新潟港からめぐる歴史スポット、新潟の美酒・美食、佐渡の伝統・文化にフォーカスし、
各分野の方々から楽しみ方をうかがった。
信濃川と阿賀野川の二大河川が流れ、古くから水運拠点として栄えてきた新潟港。江戸後期から明治初期には、北前船が頻繁に寄港。佐渡の金銀を江戸へ運ぶための三国街道も新潟港で交わり、人口が全国で一番多い時期があるほど繁栄を極めた。
「当時、新潟は最も豊かな地域の一つだったと言えます」と話すのは、北方文化博物館の佐藤隆男さん。米づくりに最適な環境に加え、米を運び売る流通手段もある。質実剛健、かつ新しいものを柔軟に受け入れてきた県民性から、全国から集まる情報や技術を駆使し、さらなる発展を重ねた。
「それを引導したのが豪農です。圧倒的な経済力で地域を束ね、存在感を示しました。新潟の豪農には、小作人の暮らしが安定してこそ地主の暮らしが成り立つという考えがあり、地域のための力を惜しみませんでした。邸宅にお金をかけたのもその一例。地域の雇用を創出するためです。新潟港周辺には、現在も豪農・豪商の館が残っていますので、ぜひ訪ねてみてください。その暮らしからは歴史や文化だけでなく、温かな新潟県民の気質も垣間見るでしょう」。
お話をうかがったのは…
北方文化博物館 佐藤隆男さん
副館長、専務理事。8代目当主で前館長の伊藤文吉の豊かな人間性に魅了され、約35年をともに歩む。伊藤家の文化財を通し、歴史や文化を後世に伝えることを使命とする。英語も堪能で外国人来館者の案内も。歴史的建造物を生かした文化体験の充実に取り組む。

【新潟港の歴史を知る】
北方文化博物館
250年の歴史ある越後屈指の大地主・伊藤家の邸宅を保存・公開する。要人をもてなす場としても活躍し、国の登録有形文化財に指定される邸宅は戦後初の私立博物館で、圧倒されるスケールの大きさ。館内には歴代当主が集めた美術品や古文書などを展示。敷地内では大藤の棚のほか、大広間からの紅葉や雪景色など季節ごとの雅景も評判だ。



旧小澤家住宅
江戸時代後期から新潟町で活躍した商家・小澤家の店舗兼住宅。明治時代の豪商の暮らしぶりを今に伝える。外観は新潟町における典型的な町家づくりだが、一歩足を踏み入れると、屋敷内は随所に技巧が凝らされていて見応えがある。

新潟市歴史博物館みなとぴあ
水と歩んできた新潟の歴史と文化を学べる。敷地内には開港当時のまま唯一現存する国指定重要文化財・旧新潟税関庁舎があるほか、旧第四銀行住吉町支店を移築し、早川堀や柳並木を復元。情緒あふれる港町・新潟の景観を再現しているので周辺散策も楽しい。
