芸術に、美食に
「飛鳥Ⅱ」で秋を感じる
秋ならではの定番ツアー
芸術の秋──この季節は音楽や美術に触れ、なんとなくセンチメンタルな気分になるのは日本人の特性なのだろうか? そんな秋に、格調高きクラシック音楽にどっぷりつかって堪能できるクルーズが、飛鳥Ⅱの「ウィーンスタイル」である。この企画はこれまでも秋に何度か行われ、芸術を嗜む大人たちに好評を博してきた。それが今回、日本とオーストリア修好1 5 0周年という節目に、初めて3連休に合わせたスケジュールで実施されることとなった。
●高まる“芸術の船旅”への期待
秋深まる11月の初旬、夕刻に横浜港を出航した飛鳥Ⅱは、ほぼ満船となる800人を乗せて四日市港を目指す。客層を見ると、今回は連休と重なっているだけあって、比較的若い層、カップルや子連れの姿も多く見られる。乗船する人々の顔は、これから始まる“芸術の船旅”への期待に満ちているようだ。
●秋そのものの自然の景色を味わう
2日目は雲ひとつない快晴。この日は四日市港に寄港し、オプショナルツアーも行われた。令和の即位の礼が行われて間もないこともあって、伊勢神宮に行くツアーが人気だが、まずは秋そのものの自然の景色を目で見て味わいたい。ということで御在所ロープウエーのツアーに参加した。そういえばウィーンはアルプスなど自然豊かな山に囲まれた街であり、日帰りで登山列車に乗ってハイキングに行く観光も人気だという。そんなウィーンスタイルに重ね合わせて楽しむことにしよう。
このロープウエーには数回乗った経験があるが、初めて床の一部がガラス張りの「シースルーゴンドラ」に乗ることができた。下をのぞくと少し怖いが、時期はちょうど紅葉が始まったところ。ゴツゴツした岩肌とともに、赤や黄色に色づいた山の斜面が、見事な景色を織りなしているのがわかる。
山頂の展望台からは伊勢湾が眺められるとは聞いていたが、その反対側に目をやると、山並みの向こうに湖が見えている。ツアー参加者の一人が「あれは琵琶湖だよ。これだけはっきり見えるのは珍しい」と教えてくれた。秋晴れの澄んだ空気に感謝だ。