「ぱしふぃっくびいなす」
ふれんどしっぷと奄美の原生林の愉しみ
急きょ設定された航海日1日で船内イベント満載の「ふれんどしっぷ」を満喫し、
奄美大島では亜熱帯の森、金作原原生林のハイキングへと出かけた。
写真・文=横川ちひろ
「ハッピー・セイリング!」。クルーズ・ディレクターの森真喜夫さんが取る音頭とともに「ぱしふぃっく びいなす」は博多港を出航した。森さんの小気味良いMCに始まり、その後専属バンドが鳴らす音楽にあわせて積極的に前に出て踊る乗客たちやスタッフの姿に、同船が明るく楽しい船であることを実感した。さすが「ふれんどしっぷ」だ。
今回乗船したのは、ぱしふぃっく びいなすの博多発着「世界自然遺産 屋久島・奄美大島クルーズ」。銘打つとおり、屋久島、奄美大島に寄港するはずだったが、台風の影響で屋久島寄港に代わり錦江湾周遊に。そう決まったのが出航前日だった。
「今回乗船されているのは、楽しみにしていた屋久島に行けなくても乗船しようと来ていただいているお客さまなので、スタッフ皆、一段と盛り上げようという気持ちです」。そう語るのは、そのとおり出航シーンから船上を盛り上げてくれた森さん。クルーズ2日目が急きょ終日航海日となり、新たにイベントのスケジュールを組み直したという。実際に2日目の船内新聞を広げると、船内イベントがびっしりだ。
「複数のイベントを組み合わせたスケジュールのパターンが何種類かあるんです。終日航海の時には、そこに入っていないイベントを組み込んだりしますが、今回は特別に、2カ月のロングクルーズ中にしかやらない、イントロ当てクイズも楽しんでいただこうと登場させています」(森さん)。
そんなとてもレアなイベント「森ちゃんの昭和歌謡イントロどんどんどん」は、森さんの陽気で絶妙なまわし役で大盛況。同じくあまり登場しないという、卵型のボールを転がして的の中心を狙うオーバルボールをはじめ、メインホールで次々と行われるスポーツイベントには毎回多くの乗客が参加して、スタッフと一緒になって楽しんでいた。とかく森さんはじめ、スタッフの方々が底抜けの明るさでその場を盛り上げてくれる。ほかにも、カードゲームやダンス教室、アート&クラフト教室など各所さまざまににぎわっていた。
航海時には常に3種類くらいのイベントから選択できるようにしているという。「あまり多くのイベントを開催して少数しか人が集まらないとイベントも楽しさが減るので、選択肢は持たせながらも大人数で楽しんでいただこうと心がけています」(森さん)。
イベント尽くしの航海日だったが、同時にこの2日目は錦江湾周遊という目玉もあった。何時にどこを航行するかなど船長との打ち合わせのもと、眺望の良い11階のオブザベーションラウンジにはイベントは入れていないという。
私もオブザベーションラウンジから出たデッキで錦江湾の景色を眺め、角度を変えるごとに表情をくるくると変える桜島の美しさを堪能。多くのイベントの裏では、乗客が好きな場所で美しい景色を楽しめるようしっかりと工夫されているのだ。
「船で1日のんびり楽しむのもいいね。次回からはこういう日のあるクルーズを探そうと思って」。ある女性乗客は航海日をたっぷりと満喫したと、こう話してくれた。