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外航クルーズ再開へ準備加速、ツーリズムEXPOセミナーに国交省港湾局ら登壇
東京ビッグサイトで開催されたツーリズムEXPOジャパン2022で23日、クルーズセミナーが行われた。日本船社や外国船社の日本における外航クルーズ再開に向けた取り組みや、日本港湾における受け入れ体制に関する施策について紹介された。
セミナーでは、日本クルーズ客船海務部の松田義則次長とシルバーシークルーズの糸川雄介日本・韓国支社長、国土交通省港湾局の池町円クルーズ振興室長が登壇した。
日本港湾におけるクルーズ客船寄港数は、2019年まで順調に伸びていたが、20年以降は新型コロナウイルスの感染拡大により、需要が喪失した。日本港湾協会と日本外航客船協会(JOPA)が20年9月に、国内クルーズを対象としたクルーズ船と受け入れ港の感染症対策に関するガイドラインを策定し、国内クルーズは再開されているものの、外航クルーズは現在もストップしている状況。ただし欧米を中心に外航クルーズを再開する動きが加速しており、今年9月時点で約80カ国が再開している。日本を含む北東アジアは現時点で再開していない状況だが、再開が求められている。
松田氏は、邦船3船(飛鳥Ⅱ、にっぽん丸、ぱしふぃっくびいなす)の船内にPCR(LAMP)検査機器を設置したことなど感染防止策を説明。「安全・安心をPRできるポイントだ」と強調した。またJOPAとして、外航クルーズを対象とした新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインの第8版への改訂作業を進めており、一日も早い外航クルーズの再開に向けて取り組んでいく方針を示した。
糸川氏は外国船社の取り組みとして、2021年に日本国際クルーズ協議会(JICC)を設立し、一日でも早い日本寄港再開に向けて取り組んでいる状況を説明した。日本の課題として、外航クルーズのガイドラインの策定とカボタージュ規制、水際対策・検疫体制を挙げた。その上で、「年末年始の運航再開と、来春以降の本格運航をターゲットとしている」と述べた。
池町氏は、国交省港湾局として全国各港で感染防止策を含むクルーズの受け入れ環境整備に対する支援を行っていることを説明。今後の方針についても、「寄港自治体の安全・安心に向けた体制整備を引き続き支援していく」と述べた。また外航クルーズの再開に向けては、「欧米では、ある程度の感染は許容し、感染の状況に合わせて対策のレベルを設定している。マネジメントしながら商業運航しているモデルは、日本も参考になるのではないか」と述べた。その上で、「円安が進む中、外貨を稼ぐ手段としてクルーズは重要だ。まずは国際クルーズ用のガイドラインを作成していく必要があり、国交省港湾局として寄港地と船社が環境づくりを進めていけるように支援していく」と話した。
写真はセミナーの様子。