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日本長距離フェリー協会会長、年頭あいさつ

2023.01.05
業界

日本長距離フェリー協会の尾本直俊会長(商船三井フェリー社長)は「厳しい経営環境の中で、まずは事業の安定化に努めるとともに、若年船員の確保、高速道路の料金割引制度、瀬戸内海の航路規制などに取り組んでいく」など新年のあいさつをした。概要は以下のとおり。

 

国内では国民生活を安定すべく、ウィズコロナに向けた政策転換が模索された。海外ではウクライナでの戦争による一次産品やエネルギーの価格高騰、さらにグローバルなサプライチェーンの混乱があった。このような状況の中、幅広い品目で物価の急激な上昇が見られ、全体としてはいまだ力強さを欠いている。

 

長距離フェリー業界においては、新型コロナの影響により大幅に減少していた旅客・乗用車・トラック貨物の輸送需要で一定の回復が見られるものの、力強さに欠ける国内消費や燃料油価格の高騰により悪化した各事業会社の経営環境にはいまだ改善の兆しが見えない。

 

その中でも乗客に安心して長距離フェリーを利用いただけるよう、船内やターミナルでの感染予防対策や抗菌対策に取り組んでいる。

 

厳しい経営環境の中で、まずは事業の安定化に努めるとともに、従来課題としている若年船員の確保、高速道路の料金割引制度、瀬戸内海の航路規制などに取り組んでいく。

 

将来的には2050年脱炭素化に向けたカーボンニュートラルの推進が重要な課題となっている。長距離フェリー事業各社においては、LNG燃料船の建造を進めるなど「環境にやさしい大量輸送機関」である長距離フェリーをより環境負荷の少ない輸送手段とすべく船隊整備を進めている。

 

さらに、トラックドライバーの不足と高齢化が進む中、2024年にはドライバーの残業規制が本格化する。長距離フェリーの利用はドライバーの長時間労働の回避や人手不足対策の有力な解決法だ。今後も一層モーダルシフトの促進に努め、国内物流の能力維持と効率化に寄与していく。

 

長距離フェリー業界においても「運航の効率化」「乗組員の負担軽減」「安全性の向上」などを念頭に、ITをはじめとした新技術の活用を通じた「フェリーの自律運航」などの各種検討・実証実験に協力している。加えて、洋上の通信環境の改善によって、顧客や乗組員の利便性向上、陸上と同様の職務環境を整備することによる船の生産性や安全性の向上を目指している。

 

長距離フェリーは、災害時の輸送手段としても活躍しており、最近では、西日本豪雨災害の際に陸上交通の代替ルートとして機能するとともに、北海道胆振東部地震の際には、緊急物資や支援部隊の輸送にフェリーが活用された。このように自然災害時の代替輸送、被災地への緊急物資輸送、自衛隊の輸送支援にも速やかに対処するなど、期待される役割を機動的に果たしている。

 

当協会加盟事業者は、海上輸送における以上の事業特性を生かし、安全・安心なサービスとともに、環境に配慮し、革新的な取り組みを行う公共交通機関として活動していく。

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