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MSCエウリビア、ネットゼロ航海で燃料43トン節約
MSCクルーズは7日、新造船「MSCエウリビア」(18万1541トン)が6月に実施した温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロ・クルーズについて詳細を明らかにした。
エウリビアはフランスのサン・ナゼールからデンマークのコペンハーゲンまでの処女航海(2023年6月3日から8日)で、GHG排出量ネットゼロのクルーズを行った。4日間の航海中、同船はデジタル・ツイン(船上での最適なエネールギーフローと利用状況を再現したバーチャル船舶)よりも11%高いパフォーマンスを発揮し、全体で43トンの燃料節約を達成した。
最適な速度、航路、トリム(船体の長さ方向の傾き)、エンジン構成が重要な役割を果たし、空調、ギャレー、照明などホテル関連のエネルギー消費も厳密に最適化されたという。エウリビアは航海中、4基のエンジンのうち2基以上を使用する必要はなかったとしている。
さらに、厨房、暖房システム、給湯に必要な熱はすべてエンジンから回収したため、航海中にボイラーを使用することは一切なかった。この航海で同船はバイオLNGを使用し、マスバランス方式を採用することでネットゼロを実現した。
MSCグループ・クルーズ部門の担当上級副社長、ミケーレ・フランチオーニ氏は「ネットゼロ・クルーズの実現が今日可能であることを証明できたことを大変誇りに思う。エウリビアはこれまでで最もエネルギー効率に優れたクルーズ客船ですが、この大きな成果を継続していくためには、より広く海運業界で再生可能燃料の利用可能性を高める必要がある。政府や国際機関が適切なレベルの支援を行い、技術の進歩と再生可能燃料の利用を促進するインセンティブを与えることで、海運業界は2050年までにネットゼロ・エミッションのクルーズを実現できる」と述べている。
(写真:MSCエウリビア 提供:MSCクルーズ)