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新造船・飛鳥Ⅲは「洋上の美術館」、人間国宝らの作品を展示
郵船クルーズは14日、2025年夏に就航する新造船名を「飛鳥Ⅲ」と発表したが、新造船の特徴として「洋上の美術館」と位置づけて日本を代表する美術・工芸作家の作品の数を展示することも明らかにした。
特に特徴的なのが、船体に取り付けられる船名揮毫(きごう)を書家である矢萩春恵氏が担当することだ。
通常のクルーズ船では、船体に記される船名は各種のフォントが採用されるのが一般的だが、新造船・飛鳥Ⅲでは書家・矢萩春恵氏が揮毫を担当する。同氏は船体に取り付けられる船名板と同じ大きさで書くことにこだわり、縦160センチメートル×横300センチメートルの和紙に揮毫した。
これについて郵船クルーズの遠藤弘之代表取締役社長は「飛躍を感じさせる躍動感ある作品。ダイナミックな作品が飛鳥Ⅲの船体に入る」と解説した。
さらに船内のアトリウムには人間国宝である漆芸作家・室瀬和美氏の作品が展示される。作品は高さ9メートル×横3メートルの大型漆芸作品となる予定だ。
漆芸と郵船クルーズの親会社である日本郵船には長いつながりがあり、室瀬和美氏の師匠である蒔絵氏であり人間国宝の松田権六氏の作品が戦前の日本郵船の客船に飾られていた。遠藤社長は「日本を代表する人間国宝二名の師弟関係が大規模な作品として飛鳥Ⅲに受け継がれる」と述べた。
さらに船内レストランには画家・千住博氏のガラス作品が、そしてカフェには同氏のフレスコ画を展示する。このカフェのフレスコ画は飛鳥Ⅲのためにオリジナルで色彩される予定だ。
初代「飛鳥」、そして「飛鳥Ⅱ」で絵画を担ってきた田村能里子氏の作品も飛鳥Ⅲにも登場する。遠藤社長は「3隻にわたって飛鳥クルーズを紡いでいただく」とした。
遠藤社長はこれらのアートを採用することに関し、「飛鳥Ⅲは『和のおもてなし』と相まって、『洋上の美術館』を目指している。ドイツで建造する船であるが、日本のアートを採用し、日本の伝統文化を伝える和の船でもある。和魂洋才な客船という意味でも画期的だ」とした。
写真は漆芸作家・室瀬和美氏の作品が展示されるアトリウムの完成イメージ図