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酒田港クルーズセミナー開催、乗客アンケート調査など報告
山形県と“プロスパーポートさかた”ポートセールス協議会は31日、「クルーズセミナーin酒田――クルーズポート酒田の可能性」を酒田市内で開催した。酒田港の外航クルーズ船寄港促進を目的としたもので、行政や観光関係者ら約80人が参加した。
山形県は今年4月20日に酒田港に寄港した「シルバー・ミューズ」(4万791トン)の乗客と乗組員向けにアンケート調査を実施。第1部ではその調査結果を海事プレス社客船誘致推進部長の斉藤正幸が報告した。「山形県・酒田のイメージは『おもてなし』や『米』など漠然としたイメージが多く抽象的で固有名詞が少ない。事前の観光地情報が少ないと感じる乗客が半数を占めたが、上陸中の情報提供には8割以上が満足しており、情報を事前に提供できればツアーに出る人はもっと増えるだろう。シルバーシーの乗客は知的好奇心が強く、日本文化に対する興味関心が非常に高い傾向がある。最も良かった訪問先として『土門拳記念館』が上位に入ったのはハイグレード船社の特徴といえる。観光の満足度では8割以上が満足と回答したが、博物館など一部施設で英語表示がなかった点については満足度を下げる一因となった」と分析した。
第2部ではシルバーシー・クルーズの糸川雄介・日本韓国支社長が「これからの酒田港とクルーズとは?」をテーマに講演した。「3年ぶりの受入再開後の初入港で、酒田の皆さまのご尽力にあらためて感謝したい。シルバーシーは今年、世界936港に寄港しており、酒田港はその一つに選ばれた。今年、西日本・東北の寄港回数は過去最高を記録した。今は欧米では日本寄港の人気が高いが、もし中国が観光政策に力を入れれば、欧米船社は中国寄港に切り替えるだろう。継続的な寄港を目指すなら、寄港地としての魅力向上が重要だ。船社はカテゴリーごとに乗客の国籍やニーズ、対応が異なる。エクスペディション含むラグジュアリー船社をターゲットとするか、満遍なくカジュアル船まで対応していくか。酒田港としてターゲットを定めて、観光コンテンツとのマッチングを考えていかなくてはならない。今後は寄港地観光の高質化や多言語対応が重要になるだろう。特に英語ガイドの質についての不満は日本各地で耳にする。おもてなしは日本全国どこでもでき、どこも一緒に見えてしまう。他港にない『酒田らしさ』をブラッシュアップしていくことが必要だろう」と述べた。
講演後の質疑応答では活発な意見交換があり、「(寄港地観光の高質化の具体策については)例えば刃物打ちなら、カジュアル船の乗客は一緒に刃物打ち体験をして自分で作ったものを持ち帰るのが受けるが、ラグジュアリー船の乗客は製作体験には興味を示さない。匠に話を聞き、その歴史や他の産地との相違点などを知りたがる。その土地の歴史文化を深く知りたい」(糸川支社長)、「おもてなしは大事だが、独自性を船社にPRするのが良いと思う」(斉藤)などと回答した。
写真1点目:講師のシルバーシー・クルーズ糸川支社長(左)と海事プレス社斉藤
写真2点目:シルバーシー・クルーズ糸川支社長の講演