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フッティルーテン、「シーゼロ・プロジェクト」の進捗を公開

2025.03.26
業界

フッティルーテンが取り組んでいるゼロ・エミッション船の開発が着実に進んでいる。25日の同社発表によると、ノルウェーのトロンハイムにある海洋技術開発機関シンテフ・オーシャン(SINTEF Ocean)で実施している設計、実験などを通じて、大型バッテリーパック、格納式セイル、空気循環システム、二重反転プロペラ、エネルギー効率を最適化した船型などを評価し、成果を上げているという。

 

同社はノルウェー沿岸で排出ガスを出さずに通常航行できる船の開発「シーゼロ・プロジェクト」(Sea Zero Project)に取り組んでおり、2030年頃からの運航開始を目指している。フッティルーテンの最高執行責任者(COO)のゲリー・ラーソン・フェッデ氏は「これらのテストから多くのことを学んでおり、このプロジェクトの野心的な目標の多くは実際に実行できることが分かった」と述べた。

 

数カ月に及ぶ設計作業とテストを経て、船のデザインは改良され、船の全長は(当初計画に比べ )8 メートル長く、わずかに幅が広くなり、高さは1デッキ分低くなり、安定性が向上している。必要に応じて上げ下げできる引き込み式セイルは3基から2基に減らしたが、デジタル・シミュレーションや8メートルの模型を使った水槽実験などの結果、セイルのみでエネルギー消費を10~15%削減できることを確認できたという。

 

シーゼロはフッティルーテンとしては過去最長となる全長143.5メートル。格納式セイルにはソーラーパネルを装備。二重反転プロペラと船底の空気潤滑により、航行時の摩擦抵抗を低減する一方、船内の冷暖房やオペレーションを効率化するスマート・エネルギー・システムの導入を検討している。

 

シー・ゼロは既存船と比較して40~50%のエネルギー削減を目指しており、主要港の陸上電源接続で充電されたバッテリーにより、排出ガスのない運航が可能になるとしている。プロジェクトにはシンテフ、ヴァルド・デザイン、DNVなどが参画している。

 

写真提供: Espen Mills/Hurtigruten
イラスト提供: Vard Design/Hurtigruten

フッティルーテン、「シーゼロ・プロジェクト」の進捗を公開
フッティルーテン、「シーゼロ・プロジェクト」の進捗を公開
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