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国内長距離フェリー、新型肺炎の影響長期化を懸念
国内長距離フェリー各社は、新型コロナウイルス感染拡大による影響を懸念している。足元では航路によって濃淡はあるものの、団体を中心に旅客予約のキャンセルが発生するケースも出ているようだ。旅客輸送のピークとなるゴールデンウイーク(GW)まであと2カ月に迫り、同時期の予約が徐々に始まりつつあるが、「GWまでに終息しないと収益に大きな影響が出てしまう」と嘆く声も上がる。
国内長距離フェリーはインバウンド(訪日外国人旅客)の利用が元々少なく、1月までは新型肺炎の影響は大きくなかった。日本長距離フェリー協会の統計によると、1月の旅客輸送実績は前年同月比1.9%減の14万6924人と微減にとどまった。しかし日本国内での感染拡大を受けて、足元では外出や旅行を自粛する動きが高まっており、2月に入ってからはキャンセルの動きが出始めている。既に複数の航路で、「部活動やクラブチームなどの学生団体の利用が相次ぎキャンセルとなった」ほか、「外出を控えたり、移動を長時間かかるフェリーから鉄道や飛行機に変更するような動きもあり、(旅客のフェリー利用が)落ち着いてしまった」とする声もある。他方で2月は旅客の閑散期に当たり、「そもそも予約人数が少なかったので、影響は少ない」とする航路もあった。ただ3月以降は例年、旅客輸送が増えていく時期となる。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)など観光地の臨時休業の動きもあり、今後の影響が懸念される。「新型肺炎による自粛ムードの流れが長期化すれば、収益にも響いてしまう」と先行きを心配する声も多い。
特にGWまで影響が長期化することが懸念されている。昨年のGWは10連休となり、旅客輸送は活況だった。そのため多くの船社が、「今年は昨年に比べると落ち着くだろう」と予想していたが、「足元の予約状況を見ると、例年と比べても弱含み」とする船社もある。「早く終息してほしい」と嘆く声が上がる。船内の感染拡大防止に向けた取り組みも加速する。感染予防のためマスク着用の推奨やアルコール消毒剤の増設、ポスター・船内放送での注意呼び掛け、船内イベントの中止などを行うほか、非接触型の体温計で乗客の体温を計測している船社もある。また太平洋フェリーは旅客輸送の需要が強い4月24日から5月5日で大部屋となる2等和室の予約を停止する。このほかの期間についても2等和室の定員を大幅に減らす方針だ。その他船社も、「状況を見ながら、GWなど旅客が増えるタイミングでの感染防止策を検討していく」とする動きが多い。