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アクア・エクスペディションズ、初の沿岸航行船の詳細を紹介
アマゾン川やメコン川などを、ラグジュアリーな小型高級客船で運航しているアクア・エクスペディションズが、初めて海岸沿いを航行する「アクア・ブル」を2019年11月にインドネシアに就航させる。同社のCEOであるフランチェスコ・ガリ・ズガロ氏が7月24日に都内でメディア向けに新造船と航路の紹介を行った。
「アクア・ブル」は全長約60メートル、客室数15室、乗客定員30名のヨットスタイル客船。同氏は希望に見合うヨットを3年をかけて世界で探したという。元はイギリス海軍の探検船で、その後イタリア人オーナーのプライベートヨットとなり、それをこのたび全面改装する。デザインを手がけたのは、多数の受賞歴を誇る世界的なオランダ人ヨットデザイナーのコー・D. ローバー氏。シンガポールのSTマリーン造船所で改装が行われる。
航路は主に3エリアで、インドネシアのラジャ・アンパット諸島、バリ~コモド国立公園、アンボン&スパイス諸島をそれぞれ7泊で、ベストシーズンにめぐる。東インドネシアを拠点として通年就航する初めての客船となる。クルーズ代金は7泊で7525ドル~。
同船がめぐるのは、世界有数のダイビングやシュノーケルスポット、亜熱帯の島々で、豊かな野生動物が見られるエリアだ。スキューバダイビング、シュノーケル、カヤック、パドルボートなどのアクティビティーは無料で参加できる(スキューバダイビングは有資格者のみ)。海中ドローンで海中の様子を船上から見たり、今まで観光客の行かなかったユニークな島で伝統や文化に触れたりと、海遊び以外のさまざまなエクスカーションも準備している。
船上にはスタイリッシュな客室、くつろげるスペースなどを配置。クルーと乗客の比率は1対1と高く、同社の他船と同様、質の高い食事を提供する。
ズガロ氏就航に至るまでの道のりを、以下のように語った。「インドネシアには1万7000以上の島があり、文化や自然、美しい海があるのに、そのエリアを客船でめぐる機会はなかった。だからこそ今回、はじめてこの地に客船を就航させようと思った。アマゾン川もメコン川も就航時には苦労したが、今回も同様に、就航する国の法律を遵守するのに苦労した。それでもこの豊かで美しい経験をぜひ多くの方に体験していただきたく、船はもちろん、航行コースに関しても策を練った」。
ズガロ氏は幼少時代から14カ国に住んだ経験を持ち、その生い立ちが現在のビジネスにつながっていると語る。「世界中に魅力的なディスティネーションが多数ある。ただその地を少人数でラグジュアリーな環境に身を置きつつ、深く体験することができる機会は少ない。アクア・ブルはそれができるヨット客船だと確信している」。加えて同氏は「日本は現在アクア・ペディションズの乗客の5パーセントを占めるが、今回のアクア・ブルですでに飽和したバリ島観光を抜け出して、本当のインドネシアの美しさを見てほしい。日本人のお客さまを10パーセントほどに伸ばしたい」と抱負を語った。
同社はほかにも、現在も客船「アリア・アマゾン」を配船しているアマゾン川に、新造船「アクア・ネラ」を2020年7月に投入する。ズガロ氏はこの新造船に関しても詳細を説明した。コースなどは既存の「アクア・アマゾン」と同様の3、4、7泊のコース。船はベトナムで建造され、ペルーまで運ばれる予定だ。
アクア・ネラは濃色調の木目を船内のインテリアの基調にしており、ペルー風の鮮やかな色をアクセントにしている。加えてポルトガル風のデザイン要素も盛り込んでいる。
写真(左)フランチェスコ・ガリ・ズガロ氏 (中央)「アクア・ブル」の船体 (右)コモド島でのハイキングのアクティビティー