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HOME > 特集INDEX > 特集「ニューノーマルなクルーズ新時代へ」 第1回 「飛鳥Ⅱ」「にっぽん丸」の感染症対策と改装後の乗り心地
CRUISE最新号
特集 ニューノーマルな クルーズ新時代へ
飛鳥Ⅱのニューノーマル 最高峰の対策と心の距離感

「飛鳥Ⅱ」と「にっぽん丸」がいよいよ運航再開した。 2船に実際に乗船し、その様子をレポート。 徹底した対策に対して安心感を覚えるとともに、 改装により新しくなった施設の楽しみも味わえた。

第一章
飛鳥Ⅱのニューノーマル
最高峰の対策と心の距離感
日本でも最高峰の対策を

「飛鳥Ⅱの感染症対策は日本でも最高峰のひとつなのではないでしょうか」。

飛鳥Ⅱ(5万444トン)を運航する郵船クルーズの社員はそう胸を張る。実際、同船のトライアルクルーズに乗船し、それは決して誇張ではないと感じた。むしろこれまでGo Toトラベルキャンペーンで利用したホテルや、Go Toイートで利用したどのレストランよりも高水準の感染症対策に、ひょっとしたら日本一の感染症対策なのではないかと感じたほどだ。

そもそも、飛鳥Ⅱに乗船する乗務員乗客はすべてPCR検査済みだ。これは同じく11月2日に運航再開した「にっぽん丸」(2万2472トン)も同様。以前よりも状況が変わってきたとはいえ、まだまだPCR検査が一般的ではない日本において、ここまでする施設はほかにない。

船内の感染症対策も徹底している。席ごとにパテーションで仕切られたダイニングでは、席を同じくできるのは同室の人のみ。ダイニング以外にもパームコートなど飲食ができる施設すべてが同様の仕様で、パテーションがない空間はソーシャルディスタンスを確保すべく、使えない椅子が示してあった。これらの施設では接触を減らすためにテーブルにメニューはなく、QRコードで読み取るとメニューが出てくる仕様になっている。

メインダイニング
QRコードでメニューを読み取る
▲パテーションが設置されたメインダイニング(写真左)。テーブルに置かれたQRコードを読み取ると、メニューが出てくる仕組みになっていた(写真右)。

そもそもダイニングを含めて各施設に入場する前には検温機が設置してあり、入場前に検温して乗船カードと紐づけることにより、万一発熱した場合の早期発見が可能だ。

徹底した消毒訓練

何よりクルーたちの動きが徹底している。食事が終わればすぐさま消毒作業にとりかかる。拭くのはテーブルの上だけでなく、パテーションや椅子など「乗客の手が届く可能性がある場所すべて」。そしてその動きは実に滑らかで無駄がなく、これまでしっかりトレーニングをしてきたのが感じられる。

そしてその拭き方も必ず一方方向だけに動かすように徹底されている。「クルーには決して二度拭きしないように伝えています」と語るのは、クルーズ業界で20年以上にわたって船内での衛生管理業務に従事し、今回の対策の責任者でもある久次米一聡部長代理だ。一方方向にだけ動かすことにより、万一ウイルスが付着しても拡散することが防げるという。

検温器
消毒するクルー
▲各施設の前に設置された検温器。検温した後に乗船カードをかざす(写真左)。ウエイターたちの消毒作業は無駄な動きがなく、実に見事だった(写真右)。
新施設による極楽体験

こうした徹底した感染症対策のもと運航再開する「飛鳥Ⅱ」。「新しいクルーズ」が試されるが、一方で同船らしい楽しみは健在、いやさらにパワーアップしている。

同船は今春シンガポールで改装を行った。メインエントランスであるアスカプラザには巨大なLEDビジョンが導入され、吹き抜けの空間に新鮮な動きが生まれた。リドカフェ&リドガーデンは全面的に刷新され、明るくモダンな空間に。

新設された露天風呂も素晴らしい。風呂場から通路を通っていく時間のワクワク感。そして大海原とともに姿を現す露天風呂は十分な広さがあり、何より開放感に満ちている。露天風呂に浸かり、空に浮かぶ三日月を眺めながら、大海原を進む波音に耳を傾けていたら、これこそが「極楽」と言うのではないかと、思わず独り言ちた。

アスカプラザ
リドカフェ
露天風呂
▲写真左から新しくなったアスカプラザ(写真左上)、リドカフェ&リドガーデン(写真右上)、露天風呂(写真下)。こうした新施設を楽しみにしていた乗客も多いだろう。
ソフト面の「飛鳥らしさ」も健在

こうしたハード面のみならず、ソフト面の「飛鳥らしさ」も健在だ。中でも11月2日の運航再開から始まる、30周年イヤーのディナーのすばらしさには感嘆した。「30」の数字をイメージしたサラダの遊び心にがワクワクしたし、それぞれの一皿に様々な味と食感が詰まっていて、飽きることなく、そして重くもなく、スルスルと食べられる。

デザートの「紅玉林檎カラメリゼと乳酸菌アイスのムラングスフェール」では、ピンク色のメレンゲでできた愛らしいカプセルの中にちょこんとアイスクリームが鎮座していて、パリッとした食感とアイスクリームの冷たさ、カラメリゼされたりんごの甘味とほどよい苦みが見事に融合していた。「これ、手がかかっているんです。メレンゲを泡立てて球状の容器にひとつずつ丁寧に絞って、一日かけて乾かして、そっと型から外す。外すときにうっかり割ってしまったりすると、『あああ!』って残念な気持ちになります」。パティシエの一人がちょっぴりおちゃめに笑いながら、そんな裏話を教えてくれた。

料理集合
▲見た目にも美しい30周年記念ディナー。さまざまな味と食感で、めくるめく食体験が可能だ。

食事が終わると、ウエイターがハートマークに折られた紙を届けてくれた。そこにはひらがなでの心温まるメッセージが。日本語が母国語ではない彼らが、丁寧に時間をかけて書いたであろうそのメッセージに、ジーンと胸が温かくなった。

新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で人と人との距離をとるようにとされ、それは船上にももれなく適応されている。けれど人と人との心の距離はいつでも近くなれると、飛鳥Ⅱに乗りながら思った。

クルー集合
お手紙
▲フェイスガードをしたダイニングのウエイターたち。そのもてなしは変わらず丁寧かつ優しい(写真左)。ウエイターたちの手書きの手紙にもホッとさせられた(写真右)。

 

 

(写真=斉藤美春 文=吉田絵里)
2020年10月19日~21日乗船

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