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HOME > 特集INDEX > 特集「ニューノーマルなクルーズ新時代へ」 第1回 「飛鳥Ⅱ」「にっぽん丸」の感染症対策と改装後の乗り心地
CRUISE最新号
特集 ニューノーマルな クルーズ新時代へ
大QRコードで追跡を可能にしたにっぽん丸 新たな「お気に入りの場所」も探して
第二章
QRコードで追跡を可能にしたにっぽん丸
新たな「お気に入りの場所」も探して
全客室に空気清浄機を導入

いち早くチャータークルーズで運航再開したにっぽん丸。入念な感染症対策は当然で、乗組員はもちろん、乗客も指定クルーズでは乗る前にPCR検査がある。乗客は毎日決まった場所での体温測定も義務付けられている。こちらはサーモグラフィーでの検査で、熱がある部分が赤く染まった画像で見られるシステムだ。万一発熱した場合は全身が赤く見え、ビジュアルでもわかりやすい。検温もかなり正確に出るという印象だった。

客室に入ると、見慣れない丸い筒状のものが設置されていた。これが全客室に導入されたという空気清浄機だ。そのほか船内の空調にも送風装置に抗ウィルスフィルターと空調システム用殺菌灯を設置したという。

検温の様子
導入された空気清浄機
▲サーモグラフィーを利用した検温の様子(写真左)。青い筒状の空気清浄機が新規導入された(写真右)。

ダイニングももちろん感染症対策をしている。十分な距離を保ち、対面には座らないように工夫されていて、もし同室者以外が対面に着席する場合はテーブル上に透明のアクリル板が設置される。ビュッフェは中止されていて、すべてがセットメニューになっていた。名物のパンがずらりと並ぶ景色がちょっぴり懐かしいが、セットメニューでもご自慢のパンはたっぷり添えられていたし、もちろんおかわりもできるからお腹は大満足だ。

ダイニング「春日」のランチでは、これまで通りテラスエリアでも食事が可能だ。屋外のオープンエアで大海原を眺めながらのランチは客船ならではだし、これだけ換気のいい空間もなかなかないだろう。

QRコードを読み、アプリで管理

にっぽん丸の感染症対策で特徴的なのは、ダイニングやバーなど着席すると、ウエイターたちがスマホ片手にやってきて、席に据えられたQRコードと乗船証のQRコードをそれぞれ読み取ること。これをアプリで管理することで、乗客の動きが把握できる。万一感染者が発生した場合でも、その感染者の隣に誰が座ったかなどが把握でき、感染経路を追えるシステムだ。不特定多数が利用する陸のレストランなどと違い、乗客という固定メンバーが利用する施設ならではのシステムだろう。

セットメニューでの提供
QRコードで管理
▲朝食は和・洋ともセットメニューでの提供となっている(写真左)。ダイニングでもラウンジでも、着席するとクルーが席と乗客のQRコードを読み取りに来る(写真右)。
乗客を楽しませる工夫も

こうした対策に加え、乗客を楽しませる工夫も忘れていない。エンターテインメントはステージの前面に透明のアクリル板を設置して実施。そのほか3分でできるという「手作りマスク講座」も開催されていた。キットになっていて3分で本当に作れてしまい、しかもおしゃれなマスクだった。

船内新聞に「ソーシャルディスタンスディスコ」と書かれていたので、はてどんなものだろうとドルフィンホールに足を運んでみた。床に印が付けてあって、その上で踊るのかしら…と思っていたら、間隔を空けてイスが設置してあり、座りながら踊るのだという。ステージの前にはダンサー役のクルーがやはりイスに座りながら振り付けを披露していく。それに合わせてイスに座った乗客も踊るのだが…ダンサー役がニコニコ楽しそうに踊っていることもあり、座ったままだというのにかなり楽しめた。ちょっとした工夫でこのコロナ禍ならではの楽しみを見つける工夫に、さすがと膝を打った。

手作りマスク
ソーシャルディスタンスディスコ
▲和柄風の生地でおしゃれな手作りマスクが簡単にできた(写真左)。「ソーシャルディスタンスディスコ」の様子(写真右)。

今春に改装したエリアも、新たな楽しみを生み出している。新設された「ホライズンバー」は、ホライズンラウンジの一角に設けられたシックなカウンターバーだ。そしてこのカウンターの新設によりホライズンラウンジ自体が、どこか高級ホテルのバーラウンジのような空間に生まれ変わった。改装前の夜のホライズンラウンジといえば静かな空間だったが、それが大人向けのシックな夜の楽しみの場として蘇ったという印象だ。

「他にも感染症対策の一環として、これまで活用していなかったエリアでのイベントなどを考えています。分散して密を避けられるように、お客さまがそれぞれの『お気に入りの場所』を見つけられるような仕組みができたらと思っています」と語るのは、同社の山口直彦代表取締役社長だ。そもそもの乗客定員もしばらくはこれまでの約半数程度に抑えられているため、これまで以上にゆったりと過ごせそうだ。

ホライズンバー
アナログレコード
▲新設された「ホライズンバー」。シックで大人な雰囲気のバーだ(写真左)。ラウンジ「海」の一角にはアナログレコードがかけられるシステムが登場。「歌謡曲ナイト」など実施していく予定だという(写真右)。
食の楽しみも増して

食の楽しみはさらに増した。改装により導入された「にっぽん丸SHOW CASE」では、その一環としてシェフによるデモンストレーションも。普段は完成品をいだたくだけの食事が、実に緻密な作業によって生み出されているのを知り、感嘆した。リドテラスでは商船三井客船のルーツである南米航路にちなんで、「プルドポークサンド」も提供。同社が脈々とつないできた歴史を味で再現していた。

改装されたeカフェ&ライブラリーでは、有料でコーヒーのほかフルーツジュースも提供。「疲労回復、むくみ解消におすすめ」などのコメントも添えられていて、寄港地ツアーの後などにも良さそうだと感じた。目の前には本も並んでいるから、ドリンク片手にリラックスした読書タイムも可能だ。何より船内でちょっとお茶ができるスペースが増えたことがうれしい。

にっぽん丸SHOW CASE
eカフェ&ライブラリー
▲新登場した「にっぽん丸SHOW CASE」でのデモンストレーションの様子。テキパキと作業する様子がモニターで拡大された(写真左)。eカフェ&ライブラリーはグリーンもあしらわれ、さわやかな雰囲気(写真右)。

乗客が着席するたびにQRコードを読み取るウエイトレスに、「新しい仕事が増えてしまって、大変ですね」と声をかけると、気さくな笑顔でこう答えてくれた。「そうですね、確かに仕事は増えましたが……お客さまの健康を守るためですから」。笑顔とともにスッとその答えが出てきたことに、「にっぽん丸」の普段からのお客さまへの思いがにじみでているようで、実に頼もしかった。

「飛鳥Ⅱ」も「にっぽん丸」も11月2日より自主運航でのクルーズを実施している。どちらも乗客定員を抑えているため、いつになくゆったりと過ごせる。週末を利用したクルーズなども多く、現役世代でも参加しやすい日程も。日本船はGo Toトラベルキャンペーンの対象だから、お得に乗船できるメリットもある。乗り慣れている人も、「いつか乗りたい」と思っていた人も、いまこそが乗り時だと実際に乗ってみて感じた。

 

 

(写真=田村浩章 文=吉田絵里)
2020年10月22日~23日乗船

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