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HOME > 特集INDEX > 特集「ニューノーマルなクルーズ新時代へ」 第3回 クルーズアンバサダー 吉田あやこ氏に聞く、新しいクルーズへの英知
CRUISE最新号
特集 ニューノーマルな クルーズ新時代へ
大型客船MSCグランディオーサの運航再開クルーズに乗船
客船評論家ダグラス・ワード氏が体験した大型船のニューノーマル
クルーズアンバサダーであり、
薬剤師でもある吉田あやこ氏

クルーズアンバサダーであり、薬剤師でもある吉田あやこ氏。本誌連載「味なクルーズ 世界食べ歩き」も好評の同氏は英国在住で、すでに運航が再開されたリバークルーズに参加した。そのクルーズの様子、そして健康面を中心に今後のクルーズに必要な知見を聞いた。

乗船直前にコロナ検査

――すでにリバークルーズに参加されたとのこと、詳細を教えてください。

吉田あやこ氏(以下略)  ポルトガルのポルト発着のリバークルーズで、9月3日に乗船し、10日に下船しました。ドイツの船会社ニッコー・クルーズが運航したものです。全航程がポルトガル領域内で他国には寄港せず、また夜間は港で停泊するスケジュールでした。

乗客は欧州内で旅行制限のない国の方々です。ドイツ人のグループやデンマーク人のグループなどがいらっしゃいました。私はイギリスから参加しましたが、もし帰国が1日遅ければ、2週間の自宅隔離が必要でしたが、今回は幸い自主隔離の必要はありませんでした。

今回は同時期に5隻ほどのリバークルーズ船が同じ航路に就航していました。現在の欧州の状況は国によっても違いますが、北欧などは比較的移動に関する規制は緩い傾向にあります。外洋クルーズを見てみても、ポナンやMSCクルーズなど、欧州系船社の方が運航再開が早いですよね。

――乗船に当たっての条件はいかがでしたか。

港で検温と血液検査がありました。血液検査は指に針を刺して血を検査するもので、これでコロナ感染の有無がわかるものです。この検査が陰性でないと乗船できませんでした。乗船直前に検査があるため、事前の医師の診断書などは必要ありませんでした。検査費用は船会社持ちで、やはり乗船直前の検査で「陰性」と出てから乗れるので、安心感がありました。

運航再開した欧州のリバークルーズは、停泊の多い、ゆったりとした航程
新たなクルーズの楽しさ

――船内生活はいかがでしたか。

乗客のマスク着用については厳しく決まりがあり、マスクを外せるのは飲食時のみです。廊下を歩いているときでもマスクは着用しなければなりません。イギリスではソーシャルディスタンス、私はこれを「対人距離」と訳すのがいいと思っていますが、そうした距離をとれと言われています。また店内や公共交通機関ではマスクの着用義務はありますが、他ではマスクの着用は強制されていません。ですので、船内はイギリスでの日常生活よりもずっと厳しいという印象でした。クルーの方々はマスクに加えて手袋も着用していました。

朝食はビュッフェでしたが、料理をとりに行くときもマスクは必須でした。料理は小皿に取り分けられていて、それぞれの小皿の上にはプラスチックのカバーで飛沫や空気中に漂うウイルスの付着を防ぐ工夫がされていました。

それ以外の料理は、担当のシェフがいて、乗客のお皿に取り分けてくれました。パンも並んでいるものを指でさして注文するスタイルでした。ですので乗客がトングを握るシーンはありませんでした。

テーブルは毎回指定の同じ席に座ります。大人数のテーブルがなく、一人参加の人は一人のテーブルで、二人参加の人は二人のテーブルで、という形でした。そのほか、船内のソファにも「この席は座らないでください」という注意書きがされていて、連続して人が座らないようになっていました。

また船内は基本的に一方通行で、どの方向に進むか指示してあります。というのも、乗客同士が行き違うと、向かい合って飛沫が飛ぶ機会が増えるからです。外のデッキも進むべき方向の指示がされていて、他の乗客の方の背中を見て歩く形になります。

――そのような「新しいクルーズ」に参加されていかがでしたか。

楽しかったです! クルーズ自体が久しぶりということもありますが、「こういうところが新しいんだな」と新鮮に感じられるところも多かったです。やっぱりクルーズはいいなと改めて感じました。

実は乗客の方に、新型コロナウイルスの陽性患者が出た「ダイヤモンド・プリンセス」のクルーズに参加されていたという方がいたんです。私が日本人だとわかると、「日本はとても良い国だった」と言ってくださって、ウルっときてしまいました。そしてその方はまた今回もクルーズに参加されていました。クルーズにはそれだけの魅力があると改めて思いました。

英語だとWe are in the same boat、日本語だと「一蓮托生」や「運命共同体」という言葉になるかと思いますが、他の人と同じ船に乗ることで生まれる連帯感がクルーズの魅力です。ほかの人のことも思いやりつつ、新しいクルーズマナーを学びながらこれからもクルーズを楽しみたいなと思いますし、また多くの方にも楽しんでいただきたいなと改めて思いました。

「新しいクルーズ」に必要な持ち物

――今回クルーズに参加されるにあたって、必要だと思った持ち物について教えてください。

これまでの持ち物に加えて、①コロナ対策グッズ ②薬 ③食べ物について話せればと思います。

まずはコロナ対策グッズですが、体温計は新しい旅のスタイルにおいて必需品です。マスクも必需品ですが、これは複数の種類を持っていくべきだなと感じました。例えば空港など人が多く行きかうところでは、N95などウイルスの遮断率の高いマスクが有効です。使い捨てのマスクもあると便利ですし、レースのものなど、おしゃれなマスクをする場面もあるでしょう。マスクも時と場合によって使い分けられるようにするといいですね。

マスクはTPOにあわせて、複数を持参するといい。
船内で過ごすときなどは、おしゃれなレースのものを着用

それからマスクホルダーもあるといいですね。食事のときにマスクを外しますが、それをそのままテーブルの上に置くのは、感染対策としてふさわしくありません。マスクホルダーを利用して、手持ちのバッグなどにしまっておくのがいいでしょう。マスクホルダーは堅めの封筒やクリアファイルで手作りもできます。

除菌ジェルも必需品ですが、それと一緒に持っていきたいのが、ハンドクリームやモイスチャーローション。除菌ジェルを頻繁に使うことで、手がカサカサになるのを防いでくれます。

私が「あればよかったな」と思ったのが、寄港地などで使えるプラスチックやビニール製の小さなバッグやポシェットです。寄港地から船内に入るときには、毎回手指と持ち物の消毒をしなければならなかったのですが、私は本革のポシェットを持っていってしまい、これだと消毒するとビショビショになってしまったのです。ですので消毒薬で濡れても大丈夫なバッグがあると便利です。

――薬に関してはいかがでしょうか。

常備薬は必須ですが、これはクルーズの日数プラスアルファ、十分な量を持って行きましょう。私は今回7日間のクルーズでしたが、1カ月分の薬を持って行きました。万一自分が感染して隔離される可能性もゼロではないと考えると、そのぐらいあったほうがいいと思います。

それから英語の処方箋も必要です。注意点としては、薬の商品名ではなく、成分名で表記しておくことです。海外と日本では商品名が異なったりしますので。加えてアレルギーがある人は、手書きでもいいので、英語で書き加えておきましょう。

こうした処方箋はコピーをとって2通用意しましょう。1通は薬と一緒に持参し、1通はパスポートに挟んでおくといいです。こうしておけば万一のことがあって自分で薬の場所がわからなくなったり、どこかに搬送されるというような事態になっても、普段どんな薬を飲んでいるのか、周囲の方に伝わりやすいと思います。

また普段からサプリメントを飲んでいる方は、それも忘れずに。マルチビタミンなどのサプリメントは飲んでいると安心感もありますし、免疫力アップにつながります。

――食べ物に関してはいかがでしょう。

手軽に持っていける食べ物に関して、6つ紹介できればと思います。

私が常に持っているのはチューインガムです。噛んでいると唾液が出るので、のどがカラカラになるのを防いでくれます。またガムを噛んでいると満腹感が出るので、食事の20分前ぐらいにかむと、食べすぎを防いでくれます。

だし昆布を小さく切ったものもおすすめです。夜、水にこの昆布を入れて冷やしておくと、朝には昆布水ができています。昆布水は体にもいいネバネバ物質を含む健康飲料として知られています。

緑茶もおすすめですね。緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用があり、老化予防、生活習慣病などの予防が期待できます。できれば高品質の緑茶を持参しましょう。出がらしをオリーブオイルと塩で食べるとおいしいですよ。

それから私はスパイス、シナモンやターメリックなどの粉も持参しています。これらは抗酸化作用、抗炎症作用が期待できます。ヨーグルトやオートミールにかけて食べたり、ターメリックはミルクと混ぜて、ターメリックラテにしたりします。

それから味噌も小さなタッパーに入れて持って行きます。家にある味噌を色々混ぜるとおいしくなりますよ。お湯でといて飲むと、出汁がなくてもホッとできる味になります。

カカオ70パーセント以上のチョコレートも持って行きたいもののひとつです。客船にはチョコレートもありますが、意外とビターなものは少ないのです。こうした高カカオのチョコレートは、ポリフェノールが多く含まれていて体にもよく、食事の前に少量を食べると食べすぎを防いでくれます。

マスクや緑茶、高カカオのチョコレートなどの持ち物。
クルーズ中に消費できるぶんだけ持参すれば、かさばらない
前を向いてクルーズを楽しむ

――船内での過ごし方ではいかがでしょう。

私は「自分体操」と名付けているのですが、自分なりの体操のレパートリーをクルーズに行く前から準備しておくといいですね。ヨガやピラティス、ラジオ体操、スクワットなど、自分の体に合うものを日頃から見つけておいて、それを客室で続けるのがいいでしょう。

こうした体操には人前でやりづらいものもあるかもしれません。ですので人前でもできる簡単な運動方法を覚えておくといいですね。例えば「かかと落とし」は背伸びしてストンとかかとを落とす動作ですが、骨密度を上げる効果が期待できます。片足立ちや大胸筋ほぐし、首をまわすといった動作もおすすめです。クルーズ中のちょっとした空き時間に、その場に合わせて少しでも運動する習慣がつけられるといいですね。

メンタル面も重要ですね。クルーズを楽しむために、自分の健康を自分で守るという意識が必要だと思います。

これからのクルーズは、様々な状況の変化が起こるかと思いますが、そうした変化に強くならないといけないと思います。今までのクルーズと比べたり、過去を振り返っても仕方ない。前を向いて、「新しいクルーズ」を楽しむという気持ちが必要だと思います。

 

 

聞き手&文=吉田絵里

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