乗るまで待てない! WEBクルーズ
  • ホーム
  • ニュース
  • トピックス
  • 客船データベース
  • 出版物のご案内
HOME > 特集INDEX > 特集「アフターコロナのクルーズ新時代に向けて」第3回:日本外航客船協会(JOPA)坂本会長に聞く、日本におけるクルーズ再開への道
CRUISE最新号
特集「アフターコロナのクルーズ新時代に向けて」

第3回
日本外航客船協会(JOPA)坂本会長に聞く、
日本におけるクルーズ再開への道

(一社)日本外航客船協会(JOPA)坂本深会長

新型コロナウイルスの感染拡大において、世界の注目を集める舞台のひとつとなったクルーズ客船。その渦中にある業界団体はいま、クルーズの再開に向けてどんな活動をしているのか。日本船社3社(郵船クルーズ、商船三井客船、日本クルーズ客船)を筆頭に外航客船などで構成された(一社)日本外航客船協会(JOPA)の坂本深会長に話を聞いた。

――JOPAでは5月14日に感染予防対策ガイドラインを出されました。これはどのようなプロセスを経て、またどのような方々の意見を参考に策定したものでしょうか。

坂本深会長(以下略) 5月4日に開催された政府の専門家会議で、「業界団体が主体となって、業種ごとに感染拡大を予防するガイドライン等を作成していただくことを強く求めたい」とされ、これが今回のガイドライン策定の発端になっています。

実はこのガイドラインを公表するまでの日数は10日間という限られたものでした。ですので、細部にわたって検討するというよりは、基本的な骨格を作っていきましょうと進めました。JOPAの客船会社3社、郵船クルーズと商船三井客船、そして日本クルーズ客船が一緒になって内容を議論し、国土交通省海事局や感染症の専門家にも監修して頂きました。

ただ10日という短い期間で作ったものではありますが、今回新型コロナウイルスの感染が拡大し、クルーズ客船の運航を停止しなければならないという判断をした直後から、われわれ各社は様々な研究を重ねてきました。例えば郵船クルーズの場合は(※坂本深JOPA会長は、郵船クルーズの代表取締役社長でもある)「ダイヤモンド・プリンセス」の消毒作業に当たった専門家とコンタクトを重ね、知見を重ねてきました。またCDC(米国疾病予防管理センター)のOBが携わっているコンサルティング会社があり、そちらとも連携をとって船内における防疫を研究しました。ですので、10日間で作り上げたというよりも、それまで得ていた知見を盛り込んだ形になったかと思います。

――感染予防対策ガイドライン策定に当たって、会員各社の意見をどうとりまとめていったのでしょうか。

業界内では、きちっとガイドラインを設けないとクルーズを再開するのは簡単ではないというコンセンサスがありました。ですので各社で大きな意見の食い違いはなく、スムーズにまとまりました。

――先ほど大枠を固めたとおっしゃいましたが、実はこのガイドラインを読んだときには、細部にまでわたっているなという印象を受けました。これまでのクルーズの楽しみを制約する部分もあるのかなと。

どのような点でそう感じられましたか。

――クルーズは食事の楽しみもあると思いますし、「3密を避ける」という意味では、船内での社交ダンスも制約が出てくるのかなと思います。ですのでガイドラインの策定は、JOPAとしても苦渋の思いもあったのかなと想像しました。

ご指摘のところはまさにその通りだと思います。ただ今回クルーズに関して多数の報道があった中で、そこは世間の動きをきちっと加味していかないと、一般に受け入れられるのは難しいのではという思いがありました。

このガイドラインは未来永劫続くわけではなく、ワクチンや特効薬ができたりして状況が許せば、緩和していくことが可能だろうと思っています。

――運航再開の際、このガイドラインを実施するにあたって、課題など感じていらっしゃいましたら教えてください。

それはたくさんありますね。先ほどおっしゃったように、密集しないような対策をとるということを考えていきますと、例えば飛鳥IIの場合は872名のお客さまがご乗船いただける船ですが、定員いっぱいご乗船いただくのは難しいかもしれません。食事もそうですし、劇場なども間隔をとるとなると、受け入れられる人数に制約が出てくるということが考えられます。ガイドラインをきちっと守っていくには、今までやってきたクルーズを踏襲するのは難しいでしょう。

――JOPAとして、このガイドライン策定以外に、今後何か実施する予定はありますでしょうか。

JOPAのガイドラインに加えて、さらにWHOなど国際機関のガイドラインや関係業界のガイドラインを盛り込んだ、クルーズ船におけるバイオセイフティマネジメントガイドラインを日本海事協会(NK)と合同で作成していきたいと考えています。こちらのガイドラインでは、感染症を防ぐ第一次予防、感染者の早期発見、隔離などを行う第二次予防の観点を盛り込み、万一感染が船上で発生した場合に最小限の感染で抑えるための対応方法も盛り込む予定です。これには国土交通省はじめ政府の方々などにもご協力をお願いしたいと思います。

――それはいつ頃を目途にしているのでしょうか。

夏を目指して作っていきたいなと思っています。

――新型コロナウイルスの感染拡大は、クルーズ業界にとって相当なイメージダウンとなりました。クルーズ市場の巻き返しをどのように進めていくべきとお考えでしょうか。

一番大事なことは、JOPAのガイドラインやNKと作成するバイオセイフティマネジメントガイドラインをきちっと実施していくことで、世間の皆さまのご評価をいただくことだと考えます。「そこまでやっているなら大丈夫だね」という評価を地道に作り上げることが必要です。

クルーズ業界のイメージダウンに関しては、それをいま議論しても仕方がないと思います。むしろ我々は、過去の事例から学び、今後にいかしていかなければいけない。例えば万一感染が発生した場合、グリーンゾーンとレッドゾーンをどう区別しなければいけないのかなどですね。そうした努力をすることで、クルーズのイメージアップを図っていくしかないと考えております。

――受け入れ側である港との連携については、どのようにお考えでしょうか。

港の連携は重要です。個々の船社はもちろん、国土交通省を通じてなど、様々な側面から連携していかなければならないと思います。各地ではやっと緊急事態宣言が解除されたところで、地域の住民の方々のご懸念は、すぐには解消されないでしょうし、クルーズの受け入れの判断は、港を管理する自治体としては簡単ではないでしょう。ただ先ほど触れたように、今回のJOPAのガイドラインや今後策定するバイオセイフティマネジメントガイドラインに即し、高い基準をクリアした船社として認定されることで、地域の方々の信頼を得て、徐々に寄港再開をしていきたいと考えております。

やはり受け入れ先の地元の方々が歓迎してくれないクルーズは、お客さまの満足度も上がらないと思いますので、一歩一歩努力していくしかないと思います。

――クルーズの再開に向けて、乗客や業界関係者に伝えたいメッセージがありましたらお聞かせください。

今回のパンデミックは、戦後の人類が経験した初めてのものでした。クルーズ業界においても初めての経験で、きちんと準備ができなかった面もあったのかもしれません。

ただ一方で、きちんと準備して安全基準をクリアしていけば、クルーズは快適で安全だという根底は変わらないと思いますし、われわれはJOPAのガイドラインやバイオセイフティマネジメントガイドラインを作り、実施することで、クルーズは安全、安心であるということでご理解いただくように努力してまいります。

今後のクルーズのあり方は多少変わって、ますますゆったりした旅のスタイルになっていくのかもしれません。そんなことを考えながら、再開に向けて日々努力していく所存です。

 

 

インタビュー:吉田絵里(CRUISE編集長)
2020年5月22日 オンラインにて実施

ページTOPへ