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HOME > 特集INDEX > 特集「アフターコロナのクルーズ新時代に向けて」第5回:コスタクルーズ浜岡聡一日本・韓国支社長に聞く、日本発着クルーズ再開に向けた対策とは
CRUISE最新号
特集「アフターコロナのクルーズ新時代に向けて」

第5回
コスタクルーズ浜岡聡一日本・韓国支社長に聞く、
日本発着クルーズ再開に向けた対策とは

コスタクルーズ浜岡聡一日本・韓国支社長

2016年から大規模な日本発着クルーズを実施、日本での知名度を上げたコスタクルーズ。一方で長崎港停泊中の「コスタ アトランチカ」船内での乗組員の新型コロナウイルス感染は大きくニュースにもなった。そのときの様子や対応はどのようなものだったのか。そして日本発着クルーズ運航再開のために必要なこととは。コスタクルーズ浜岡聡一日本・韓国支社長に話を聞いた。

運航再開に向けて考える“新しいクルーズ”のあり方

――まずコスタクルーズ全体の現状と、今後の運航スケジュールについて教えてください。

浜岡聡一支社長(以下略) 運航再開のスケジュールについては、月ごとに発表することになっており、現在コスタ全体では7月31日までの運航中止を発表しています。今はコスタ社独自の感染症対策のガイドラインなどを作成しているところです。今後米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインなどを参考にしながら、世界基準とローカル基準を組み合わせたガイドラインを作っていかなければならないと思っています。

――日本発着を予定していた「コスタ ネオロマンチカ」ですが、今後どのようなスケジュールでの運航再開を考えていますでしょうか。

コスタ ネオロマンチカの日本発着に関しても、現在7月末までの運航中止を発表しています。国内旅行は7~8月くらいから再開するような兆しがありますが、海外旅行については再開時期がまだ見えない状況です。コスタ ネオロマンチカは10月から那覇発着クルーズを予定していますが、外国の港の受け入れ状況や、なかなか営業活動ができないという現状もあり、運航可否は未定となっています。

――韓国やロシアなど外国の港にワンタッチしなければいけないことを考えると、海外旅行が解禁または条件付き解禁にならなければ再開は厳しいということでしょうか。

そうですね。海外の国の受け入れ状況もあるので、われわれだけでは決められない部分が多々あります。先方の国が条件付きで入港可能ということになれば、アイテナリーを変更して運航する可能性もあります。10月のクルーズは那覇発着で台湾に寄港するコースで、日程も3~4泊と比較的短いです。台湾は今回の新型コロナウイルスの抑え込みにも成功しており、早い段階で寄港できるようになる可能性もあるかもしれません。今後の状況を見ながら運航再開の時期を探っていきたいと思います。

――運航再開にあたって、どのような新型コロナウイルス感染症対策を導入しようとお考えでしょうか。

国や船社、クルーズライン・インターナショナル・アソシエーション(CLIA)やCDCなどから出されるすべての基準に満たした形で運航します。クルーズは今まで密になりやすい環境であり、一方で密の状態を楽しむのがクルーズの醍醐味でした。そのイメージを変える新しいクルーズのあり方を考えていく必要があります。

例えば、乗客定員を減らす、希望する方にはルームサービスで食事を提供する、シアターに入場できる人数を制限するなどの対策を考えています。われわれのクルーズは船内イベントなどで人が集まって楽しむアクティブなイメージでしたが、今後は静かにゆったり楽しむ過ごし方もご提案できればと思っています。

キッズプログラムの運営も難しくなるかもしれませんし、できないことが増えていくなかで、その代わりに何ができるのかを模索し始めているところです。

コスタの日本発着は欧米人乗客とのふれあいも魅力ですが、お客さまの多様性についても、状況に応じて考えていかなければならないと思います。

――運航再開にあたって、御社が感じている課題を教えてください。

運航再開のために必要なことは、まず新型コロナウイルスに対する乗客の方の不安をなくすこと。次に発着地、寄港地の地元の方の不安をなくすことです。そのためには、まず船の中にウイルスを持ち込まないこと。次に、ウイルスが入ってきてしまったときには感染者の隔離や、消毒などの徹底を図る必要があります。

そして、もし拡散してしまった場合にどのように対応するかということを地元の港湾の方たちと一緒に考えていき、方向性を定める必要があると考えています。この方向性を決めることが今後の課題であると思います。

――運航再開にあたって、どのように港との連携を図っていこうとお考えでしょうか。

今後、再開に向けては地元の港湾の方とオペレーション上の問題について話し合っていかなければならないと思っています。日本発着以外にも、コスタクルーズは中国発着も実施しており、こうしたインバウンドで寄港する港との話し合いも進めていかなければなりません。地元での新型コロナウイルスに対する不安を払拭すると同時に、地元の経済にもっと貢献できる寄港地ツアーを考え、クルーズに来てほしいと思っていただけるような関係づくりに励んでいく必要があると思います。

――具体的には、今までと違った寄港地ツアーを実施したりするのでしょうか。

すでに一部実施しておりますが、地元の方に訪れてほしい場所などを聞き取りし、寄港地ツアーの造成に取り入れたりしています。地元の方のご意向に沿ったツアーにしていきたいと思っています。インバウンドの場合は、乗客の方がなかなか地元のお店に訪れないなどの問題もあるので、そのあたりも今後解決していきたいです。

「コスタ アトランチカ」で起きたこと

――4月中旬、長崎に停泊中の「コスタ アトランチカ」で乗組員の新型コロナウイルスの感染が確認されました。5月31日に無事出港となりましたが、出港にいたるまでのコスタクルーズとしての対応について教えてください。

まずわれわれがやらなければならなかったことは、船の乗組員と地元の方々の健康を守るためにいち早く感染を終息させること、もうひとつは、地元の医療機関に負担をかけないようにすることでした。船内には乗組員のみだったので全員で620人ほどが乗船していました。航空機のチャーターも活用し、陰性の乗組員約500人をなるべく早く帰国させることに注力しました。この状況下なので航空機もほぼ運航しておらず、入国できない国も多くあり、なかなか大変ではありました。

横浜での「ダイヤモンド・プリンセス」のときに対応された医療従事者の方からもご協力をいただき、そのときの経験を生かした適切なご指導をいただくことができました。

――入院者が5人というのは予想以上に少ない数字に感じました。現場との連携はどのように行っていたのでしょうか。

長崎県、長崎市、厚生労働省、国土交通省、災害派遣医療チーム(DMAT)、国立感染症研究所(NIID)などさまざまな方の協力を得て、東京と現場とで連絡を取り合い、ミーティングを重ねながら対応いたしました。

――出港時には多くの方が見送りに来られたという報道もあり、SNSにアップされた乗組員による動画は心温まるものでした。実際はどのような様子でしたでしょうか。

励ましのお手紙やメッセージカードをいただいたり、地元のカステラをいただいたり、いろいろな方からたくさんの応援、励ましのお言葉をいただきました。動画内で乗組員が振っているこいのぼりも地元の方からいただいたものです。乗組員も厳しい状況のなか、たくさんの人々に励まされ、勇気づけられたと聞いています。

コスタ アトランチカの乗組員による動画

クルーズに対する不安を払拭するために

――新型コロナウイルスが御社に与えた影響と、それをどう乗り越えていこうとお考えでしょうか。

クルーズ業界だけでなく、旅行業界が甚大な被害を受けているなか、「旅行を楽しみたい」という皆さまの思いは変わらないと思いますし、クルーズが好きな方はまたクルーズを楽しみたいと思っていらっしゃるはず。そこをいかに不安なく楽しめるようにするかが重要だと考えています。

――不安を払拭するための情報発信をしていくということでしょうか。

今回、アトランチカの件で医療関係の方に話を聞く機会が多々ありましたが、医学的に話を聞くと、きちんとした知識があれば必要以上に恐れることはないのかなと思う部分もあります。最後はお客さまの判断になりますが、安心につながるような医学的な情報なども発信しながら、漠然とした不安がないように努めていきたいと思います。

――フライ&クルーズにも力を入れているときでしたが、今後はどのようにプロモーションしていく予定でしょうか。

沖縄を拠点にしたフライ&クルーズは反響もよかったですし、3~4泊などの比較的短い日程で多数の寄港地を訪れるコースが多いので、船内にずっと留まることもなく、ハードルが低くなるのではないかと思います。今後もしばらくはショートクルーズを中心にプロモーションしていく予定です。

――欧州へのフライ&クルーズの再開はまだしばらく先になるとお考えでしょうか。

2021年4月以降の予約もすでに始まっており、状況が許せば行きたいという需要もありますので、欧州の状況がよくなれば、リピーターの方は戻ってきてくださると思います。ただ、初めてのお客さまはクルーズに対するハードルが上がっていると思いますので、そこは不安なく乗船していただけるように努めていく必要があると思います。

――弊誌の読者ならびにコスタクルーズのファンに向けて、メッセージをお願いします。

コスタクルーズはイタリアの会社なので地中海クルーズの充実はもちろんのこと、日本発着クルーズもさまざまなコースをご用意しています。こういった厳しい状況の中ではございますが、いち早く皆さまにクルーズを安心・安全に楽しんでいただけるよう、運航再開に向けての準備を進めていきたいと思っております。2021年の日本発着についてはすでにコースを発表しておりますが、コスタ ネオロマンチカから船を変え、さらにアップグレードした船旅をお届けできればと思います。引き続き、クルーズ再開に向けて取り組んでまいります。

 

 

インタビュー:上妻優里
2020年6月5日 オンラインにて実施

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