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HOME > 特集INDEX > 特集「クルーズ新時代に向けて」第11回:MSCクルーズジャパン オリビエロ・モレリ社長に聞く、運航再開への取り組みと今後の展望
CRUISE最新号
特集「クルーズ新時代に向けて」

第11回
MSCクルーズジャパン オリビエロ・モレリ社長に聞く、
運航再開への取り組みと今後の展望

MSCクルーズジャパン
オリビエロ・モレリ社長

2018年に初となる日本発着クルーズを開始し、日本市場への本格参入を果たしたMSCクルーズ。今後10年間で8隻新造という大規模な事業拡大戦略を掲げる同社は、現況をどう見ているのか。MSCクルーズジャパンのオリビエロ・モレリ社長に、運航再開に向けた取り組みと今後の動向について聞いた。

日本での展開は変わらず、2021年も日本市場へ配船

――まず、MSCクルーズの現在の状況について教えてください。

オリビエロ・モレリ社長(以下略) 3月以来、全船の運航を停止しています。現在、全船が常時すべての電源を入れた状態、私たちは「ウォーム・レイアップ・モード」と呼んでいますが、そういう状態で地中海やカリブ海、南米、南アフリカなど世界各地に停泊しています。しかるべき時が来たらいつでも、スムーズに運航を再開できる状態です。

――2020年に日本発着を予定していた「MSCベリッシマ」の現状、ならびに今後の動向を教えてください。

「MSCベリッシマ」は3月中旬から現在まで、ドバイに停泊中です。日本政府や港湾関係者などとの協議の結果、自主クルーズとして今秋に予定していた日本発着・片道クルーズ3本は断念することになりました。

私たちMSCクルーズジャパンはもちろん、ジュネーブ本社もこのキャンセルに関して非常に残念に思っています。しかし、今後、日本市場での展開を低減したり、ターゲットをほかに移したりするつもりは決してありません。日本市場へは引き続き強い決意を持って、注力していきます。

Web CRUISEの読者の皆さまに特別にお伝えする情報になりますが、2021年シーズンも「MSCベリッシマ」の日本配船は決定しています。

2019年就航の17万トン型「MSCベリッシマ」。日本発着を行う最大客船として来航が待たれる

――運航再開に向けて、どのような感染症対策を考えていますか。

クルーズの再開は、今後新しい形でのクルーズが確立されて初めてかなうことだと思っています。そのための一つの側面として、やはり安全・衛生に関するプロトコルがきちんと策定され、実践されることが必要です。

MSCクルーズも独自のプロトコルを策定するべく、国際レベル、また地域レベルの健康機関や医療機関の専門家の協力のもと、また、世界情勢を踏まえながら調整を進めており、現在最終段階に入っています。

内容は多岐にわたっていて非常に複雑、かつ革新的なものとなります。乗船中だけでなく、予約段階から下船し帰宅するまでのすべての行程をカバーした内容であることが特徴です。また、お客さまにどうクルーズを楽しんでいただくかという基本的な行動規則も含みます。こういったソフト面だけでなく、船内の新たな医療施設などハード面のアップデートも考慮したものとなる予定で、近日中に正式発表したいと考えています。

このプロトコルはもちろん、お客さまの安全・健康に重きを置いています。ただし、その基礎の部分を担うのはクルーで、彼らも重要な要素だと思っています。運航における新たなルールや進め方を、必要になったらすぐに実践できるよう、すでにクルーのトレーニングを実施しています。

そして、取り組みの一環として、新たに「感染予防対策・品質管理オフィサー」というポジションを設けます。感染症予防に関する体制の管理・運営の責任者として、全船に配置します。

――プロトコルの策定には各地域の専門機関の意見も取り入れているとのことですが、就航エリアによってローカライズしていくお考えですか。

グローバル企業として成功するには、就航するさまざまエリアと密接な関係を持ち、それぞれの特徴やニーズに細やかに対応することが重要だと思っています。現に、MSCクルーズは全世界で50以上のオフィスを構えています。

そういう視点で、プロトコルに関しても各地域の政府や港湾など関係各所と密にコミュニケーションをとり、それぞれのニーズに対応していく必要があると考えます。それぞれの地域で必要とされるもの、求められるものが違ってくるのは必然ですので。

いつでも運航再開できるよう、入念な準備を

――運航再開にあたって、御社が考える課題とは何でしょうか。

一番の課題は、全世界で旅行に関する規制が行われていることだと思います。海外渡航の制限がいつ、どのタイミングで解禁されるかは各国の政府の判断によるところですが、お客さま自身、いつの休暇の予約をいつしたら良いのか、そもそもいつできるのか、そういう状態でしょう。

そういった面では、私たちMSCクルーズは家族経営の企業であるので、比較的臨機応変に、かつ早い対応をとることができます。旅行や観光への門が開いたのなら、それが急なことであっても、他社に先駆けて対応することが可能だと思っています。ですから今、そういう時がいつ来てもいいように、スムーズに再スタートができるよう準備を進めているところです。

――旅行者が行動を起こせるようになった時、いかに早く対応できるかという部分へも注力しているということですね。

お客さまにとって、旅行に行くという機会や時間はとても特別なものです。リラックスして楽しめる状況で行くことが重要、それこそが休暇だと思っています。政府や港湾関係者などと調整しながら、正しいタイミングで、正しい場所にお連れできるように、万全を期すつもりです。

上級客室専用エリア「MSCヨットクラブ」を備えるなど船内での多彩な過ごし方を提供している

――新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした影響と、それをどう乗り越えていこうとお考えでしょうか。

新型コロナウイルスの感染拡大は緊急事態でしたが、結果的にすべてのお客さまに安全にご自宅までお帰りいただくことができました。非常に大変なことでしたが、企業として努力して達成できたことを誇りに思っています。同時に、MSCクルーズで新型コロナウイルスの感染者が発生していないということも誇りに感じています。これはお客さまの安全・衛生に日頃から非常に気をつけているという企業姿勢の結果です。

MSCクルーズは、この事態が発生する前から、今後10年間で8隻を導入するという非常に野心的な成長プランを予定していました。2021年には「MSCビルトゥオーサ」「MSCシーショア」の2隻が就航する予定です。

今後もこの計画を決して止めることなく、また大枠を変更することもなく、取り組んでいきます。企業として、クルーズ業界での成長というのは、そこに可能性があるとみていますので。業界最速の成長率を誇る企業であり続けるという目標は、変わらず掲げていきたいと思っています。

――御社が考える「新しいクルーズ」とは、どのようなものでしょうか。

新型コロナウイルスの感染拡大における問題は、クルーズのみならず全世界レベルで私たちが抱えているチャレンジです。世界中の人たちの日常生活が変わってしまいましたが、今、そういう状況から元の生活に戻るということに、日々リスタートをきっているタイミングだと思っています。

これはクルーズにも言えることで、徐々に運航を再開していき、日々より良い状況に向かって進んでいくことでしょう。もちろん地域差はあると思いますが、一歩一歩未来に向かって歩んでいきたいと思っています。

MSCクルーズにとっても、いま最重要なのは安全・衛生管理です。これからのクルーズには新しいアプローチ、やり方が求められます。プロトコルがそれを表すわけですが、新しい形に適用するようなクルーズを提供したいと思っています。

――読者ならびに MSC クルーズのファンに向けたメッセージをお願いします。

今後発表する感染症対策プロトコルは、お客さまに「安心して予約をしてみよう」と思っていただけるような内容になっており、発表の暁には予約も戻ってくるだろうと自負しています。現在、世界中のクルーズファンの皆さまから激励のメッセージをいただいており、その期待に応えていきたいと思っています。それは予約状況にも現れていて、2021年の予約は好調にいただいています。クルーズ業界が一丸となって、しかるべき時がきたら皆さまにクルーズを提供していきます。

 

 

インタビュー:横川ちひろ
2020年6月25日 オンラインにて実施

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