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HOME > 特集INDEX > 特集「クルーズ新時代に向けて」第14回:名鉄観光クルーズセクション小泉芳弘部長に聞く、コロナ禍における影響と今後の戦略
CRUISE最新号
特集「クルーズ新時代に向けて」

第14回
名鉄観光クルーズセクション小泉芳弘部長に聞く、
コロナ禍における影響と今後の戦略

名鉄観光クルーズセクション
小泉芳弘部長

名鉄グループの旅行会社として、全国に約100店舗を構え、国内・海外旅行ツアーの販売を展開している名鉄観光。約5年前にクルーズセクションを立ち上げ、独自のWEBサイトを中心にクルーズ商品の販売を強化してきた。業界にも長く携わってきた小泉芳弘部長に、旅行会社の現状とクルーズ復活に向けた打開策を聞いた。

新規予約も徐々に復活、フェリー旅の商品販売も

――まず、御社の現状を教えてください。

小泉芳弘部長(以下略) 新型コロナウイルスの影響により、旅行業界全体で受注がなく、苦境に陥っています。弊社もかつてないほど悲惨な状況となっており、クルーズも「ダイヤモンド・プリンセス」船内での新型コロナウイルス感染が拡大した2月以来、ぱったりと予約がなくなり、キャンセル処理に追われました。

ところが、ダイヤモンド・プリンセスを運航するプリンセス・クルーズが、キャンセルになった代金の全額または一部を、今後の希望するクルーズに振り替えられる「フューチャー・クルーズ・クレジット」(FCC)を出したおかげで、ダイヤモンド・プリンセスの予約が2月時点で80名ほど入りました。

その後、キュナード・ラインが運航する「クイーン・エリザベス」の春の日本発着クルーズも中止となりましたが、こちらもFCCを利用して2021年、2022年の日本発着クルーズに振り替えるお客さまが多く、その影響もあり、2月~6月の5カ月間で、全体で500名ほどクルーズの新規予約が入りました。

日本船は10月以降の下期商品がまだ発売開始になっていないので、今入ってきている予約はプリンセス・クルーズ、コスタクルーズ、キュナード・ラインの2021年日本発着クルーズがほとんどを占めています。

弊社としては、オリジナリティーが出せるフライ&クルーズの商品の販売強化を考えています。すでに2021年春以降のコースが発表されていますが、残念ながら反応は思ったほどではありません。弊社ではクルーズ以外の旅行商品も販売していますが、新規の海外旅行の予約はほとんど入っていません。それに比べて、クルーズはかなり先の商品まで発表されているので、かろうじて予約が入っているというのが現状です。

名鉄観光のクルーズWEBサイト。船旅の選び方や客船の紹介などクルーズ初心者にも分かりやすく解説されている

――FCCを利用したリピーターの方の予約が多いのでしょうか。

そうですね。ですが、弊社のWEBサイトを見た新規のお客さまからの予約も入っています。中には今年家族でクルーズに参加する予定だったのがかなわず、予算を来年に持ち越して予約したというクルーズ初心者の方もいらっしゃいます。このように、新型コロナウイルスの影響で来年の一人当たりの旅行予算が上がった場合は、いつもは視野に入っていなかった少し値段の高い宿やそれこそクルーズが選択肢に入ってくるかもしれません。

クルーズの内側客室の予約は感覚としては以前より減ったような気がします。お客さまからの問い合わせで、「密を避けるために、乗客定員は減らしますか」といったことはよく聞かれるようになりました。

WEBサイトを立ち上げた当初は、40~50代の方からの予約が多かったですが、最近では高齢の方のWEBからの予約も増えています。全体の60パーセント以上はスマートフォンからの予約ですので、高齢の方でもパソコンは使えないがスマートフォンなら使えるという方も多いのではないでしょうか。

――GoToキャンペーンが始まりますが、どのような影響がありますか。

旅行会社としてはありがたい政策ですが、全国で感染者が増加している現状を考えると、旅行しようという雰囲気ではなくなってきているので、なかなか宣伝しにくい状況です。日本船が動き出して下期商品が全て出そろえば、GoToキャンペーンを利用したクルーズの予約も入ってくると思いますが、まだ運航再開の目途が立っていません。

キャンペーンを利用した商品販売強化のため、小笠原海運や東海汽船、フェリーさんふらわあなど運航を再開しているフェリーでの旅行商品の販売を始めました。フェリーも新造船には個室を増設したり、クルーズに近い部分もありますので、少しでも何かにつながればと思い販売しています(現在、小笠原、伊豆諸島をめぐるツアーはGoToトラベルキャンペーン対象外)。

 
小笠原海運の「おがさわら丸」は個室数が多く、レストランや展望ラウンジなども備わっている(写真提供:小笠原村観光局)

――今までにもクルーズ業界に打撃を与える出来事があったと思いますが、今回の新型コロナウイルスは業界にどのような影響を与えていますか。

過去にもテロや東日本大震災などさまざまな出来事がありましたが、被害を受けた地域が限られていたり、海外はダメでも国内は大丈夫であったりと限定的でした。今回は全世界が影響を受けており、今までとは比べものにならないくらいインパクトが大きいです。ここまで我慢したら終わりというような先が見えないのも辛いですね。

クルーズ業界としては、やはりダイヤモンド・プリンセスの影響が大きいです。あれだけメディアに出てしまったので、世間のクルーズに対する印象がかなり悪くなってしまいました。キャンセルされるお客さまの中には、ハネムーンでクルーズを予定していたが、家族に反対されたので……という方もいらっしゃいました。

――ここ数年、クルーズ人口が右肩上がりで伸びている状況だったので残念ですね。

近年では今まで日本に来なかった大型の外国客船などが日本発着クルーズを行うようになり、クルーズ人口も着実に増えていました。東京オリンピックに向けて業界でも明るい話題が多かったので、この新型コロナウイルスの影響は本当に痛いですね。ただ、下を向いてばかりではいけませんので、私たちも今やれることをすぐに実行していかなければなりません。

今後もWEBサイトに注力、2021年以降の商品販売を強化

――御社はこの状況をどのように乗り越えていこうと考えていますか。

なるべく先の商品を造成して売り出すようにしています。今は2021年のゴールデンウィーク以降の商品販売に力を入れています。フェリー商品の販売など今までやっていなかったことも手掛けて、クルーズに乗る一歩手前の新しいお客さまの開拓にも取り組んでいます。これをいい機会ととらえて、クルーズの火が消えないように前向きにやっていくしかありません。

会社として力を入れているクルーズの団体旅行販売についても、企業インセンティブなどでクルーズをチャーターしたいという話があり、船内の様子や使い勝手のよさなどを実際に見てもらって受注につなげたいところですが、今の状況ではなかなか厳しいです。船の運航が再開しない限りはそういった営業活動も難しいというのが現状です。

旅行会社の立場として一番望むことは、クルーズの運航に関するガイドラインの早期策定です。ガイドラインがなければお客さまも安心して乗船できないですし、われわれも自信を持ってお客さまにおすすめすることができません。乗下船地までの送迎などでの対策はわれわれにもできますが、船の中での対策は各船会社にお任せするしかありません。今後も船会社と連絡を密に取りながら、ガイドラインの策定について働きかけていく必要があります。

――御社は今後もWEBでの販売強化を進めていく予定でしょうか。

クルーズの運航状況が日々変わっていく中では、パンフレットの製作はなかなか難しいところがあります。その点、WEBだとコースや料金の変更にも柔軟に対応できます。弊社ではWEB専任のスタッフが対応していますので、クルーズの運航状況や新しい商品をいち早くお知らせすることができます。

新型コロナウイルスの影響でどこの旅行会社も対面の販売からWEBでの販売へと移行していくでしょう。クルーズ初体験の方でもわかりやすいサイト作りと定期的な更新や情報発信を今後も心掛けていきたいです。


インタビュー:上妻優里
2020年7月16日実施

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