乗るまで待てない! WEBクルーズ
  • ホーム
  • ニュース
  • トピックス
  • 客船データベース
  • 出版物のご案内
HOME > 特集INDEX > 沖縄クルーズカンファレンス2020レポート : 沖縄県が目指す、安全・安心なクルーズ船の受入再開
沖縄クルーズカンファレンス2021レポート

各船会社、各港湾の安全性対策

その後、休憩をはさんで「安全・安心なクルーズ船受入再開に向けて」のパネルディスカッションが実施された。ファシリテーターは赤井伸郎教授、パネリストは商船三井客船の小出文隆取締役、コスタクルーズの浜岡聡一日本・韓国支社長、静岡市経済局海洋文化都市推進本部ウォーターフロント振興担当の鈴木高美課長、そして沖縄観光コンベンションビューローの誘客事業部金城孝部長が務めた。


(パネルディスカッションの様子)

ファシリテーターの赤井教授はまず、運航再開に当たっての各社の安全対策について話を聞きたいとした。これに対し「にっぽん丸」(2万472トン)を運航する商船三井客船の小出文隆取締役は、同社のテーマは「安心こそグッドサービス」。持ち込まない、移さない、広めないをモットーに対策を行ったという。船内の換気についても触れ、「客室は100パーセント外気を取り入れている。一部公室部分には送風装置に抗ウイルスフィルターを設置、加えて紫外線殺菌装置も設けるなど、ソフト面はもちろん、ハード面での対策も行っていることを説明した。

続いて受け入れ港の現状として清水港の鈴木課長が説明。同氏は清水港客船誘致委員会事務局長も務めており、日本船の寄港再開の立役者でもある。以下の3点について順に説明した。

①清水港の受入の現状
②地域の理解を得られる対策とその周知
③受地側から船社に出した要望や調整など

①に関しては、清水港では2020年11月4日に飛鳥Ⅱが寄港したのを皮切りに年内に7回の寄港(発着含む)があった。寄港時の受入体制については、乗客との接触の機会を減らすため、岸壁への一般の人の受け入れは中止したほか、検温、ソーシャルディスタンスを確保するなどの対策を行った。

②に関しては、「地域の理解を得るにはタイミングが重要なポイントだった」と述べた。2021年1月までの寄港に関しては10月に決定したが、その時期は感染状況も落ち着いていて、市民の理解を得やすい時期だったという。市民への周知に関しては、報道によるものと自治会などへの説明の2通りがあった。好意的な報道が多かったのもあり、反対意見が出ずに受入を後押しした。

③に関しては保健所、衛生主幹部局との調整に時間を要したという。船社側には地域での医療状態を踏まえ、自治体による受け入れが困難な時は速やかな航路変更を行うことなどを要望した。

沖縄クルーズに特化したウェブサイトの立ち上げ

続いて沖縄観光コンベンションビューロー誘客事業部の金城孝部長が沖縄県の現在の動きなどについて説明。先にも話題になったクルーズ船受入協議会の立ち上げを行っており、3月末までには主要5港の地域に協議会が発足されること、その協議会によって受入の審議決定や条件提示がなされることなどを説明した。

客船誘致に関してはリアルな商談会は行える現状ではないが、オンラインの商談会に参加したり、またニューノーマルを踏まえた受入体制整備支援を行いたいとした。一方、このコロナ禍だからこその取り組みとして、沖縄県や港湾関係者とも協力して、クルーズに特化したウェブサイト「ENJOY! CRUISE OKINAWA」を立ち上げたことを紹介。これまで個々のウェブサイトはあったが、地域や観光地と港の情報がつながらなかったりするという課題があったが、それをこのウェブサイトでは解消している。新しく港からの観光モデルコースを提案するなどをし、消費単価の向上を目指す。

また沖縄を忘れられないような取り組みも実施しているとし、例えば現在台湾で運航しているゲンティンクルーズラインの客船内で沖縄フェスティバルを行ったり、また中国のクルーズ取り扱い旅行社向けにツアーの質の向上を目的としてウェビナーを行うなどしている。国内ならびに沖縄で「沖縄クルーズ 旅の思い出 フォト&ストーリーコンテスト」を実施し、沖縄クルーズを想起させるプロモーションを行った。


「エクスプローラードリーム」船内での
沖縄フェスティバルの様子

続いてコスタクルーズの浜岡支社長が同社の安全、衛生対策について解説。同社は現在地中海において「コスタ フィレンツェ」(13万5500トン)などを運航しているが、その際は後方の客室を縦、すなわち上部階までブロックし、感染者が出た場合に隔離するための部屋として確保している。該当部分は各階に防火ドアがあり、閉鎖空間とすることが可能だ。空調も独立しており、陰圧することもでき、階段とエレベーターも隔離区画だけで使える。

同社は現在台湾でも運航の申請をしているという。また2021年に日本発着クルーズの予定がある。日本においてはまだ国際クルーズのガイドラインが出ていないが、それが策定された後に、欧州で採用しているプロトコルを元に日本に対応したプロトコルを作り上げていく予定だという。

こうした各者の安全対策に関する報告に続いて、パネリスト間の質疑応答の時間が設けられた。清水港の鈴木課長から商船三井客船の小出取締役に対して、にっぽん丸の運航に当たっての緊急事態宣言の影響についての問いがあった。小出取締役は「緊急事態宣言により、船の運航を停止するわけではない。ただもちろん安全に運航ができるかの判断材料にしている。各自治体と協議をしたうえで、緊急事態宣言が発出されていなくても、寄港が難しい場合はためらわずに運航を中止する」と回答した。

沖縄コンベンションビューローの金城部長から清水港の鈴木課長に対しては、「住民やメディアに向けての説明で、どういった点を工夫したか」という質問があった。鈴木課長は「メディアに対して、真摯に、隠さずに説明することを心がけた。メディア側は寄港当日に映像を撮りたいという希望があった。だから事前申請してもらい、安全対策をしたうえで岸壁への入場を許可した。そうした背景もあり、好意的に報道していただいた。市民の方々に対しては、船内での感染症対策を中心に説明した。以前私自身が飛鳥Ⅱのトライアルクルーズに乗船させていただいたが、そこで経験したことを写真とともにレポートした」と回答した。

金城部長から商船三井客船の小出取締役へ向け、「運航再開するにあたって、受入側との訓練はしたのか」という質問があった。小出取締役は、「受入港、出発港などでの訓練を実施した」とした。同社では実地でしかわからないこともあるため、入港前、出港前などに社員を派遣し、万一の場合の連絡体制の確認などをしているという。加えてすべての寄港地で、万一に備えてタクシー会社に依頼して、万一感染者が出た場合などのシミュレーションを続けているという。

ページTOPへ