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HOME > 特集INDEX > 沖縄クルーズカンファレンス2020レポート : 沖縄県が目指す、安全・安心なクルーズ船の受入再開
沖縄クルーズカンファレンス2021レポート

今後のコンテンツ開発における課題は

その後、赤井教授から「今後はコンテンツをどう開発していくかの課題もある。乗客の方々からどんな要望があるのか」と問われた。これに対し小出取締役は「まずクルーズに対するお客さまの嗜好、興味が変わってきたという印象がある。楽しみを追求する旅から、安全・安心な旅へと思考が変化しているのが感じられる」とした。そのうえで、「PCR検査や、検温、マスクの着用などお客さまには負担かと心配していたが、運航再開後にお客さまに話を聞くと、好意的な意見が多い。これだけやってもらえて安心という言葉をいただいており、ホッとしている」とした。加えて「新商品では自然を満喫できるという船ならではの魅力を新たに提供していきたい」と抱負を述べた。

浜岡支社長は「ショアエクスカーション(寄港地ツアー)を充実させていきたいと思っている。ヨーロッパではナショナル・ジオグラフィックとタイアップして、特別なガイドをつけた世界遺産をめぐるツアーなども用意している。以前の大型バスでめぐるツアーから、少人数へのツアーになっていく流れがある。地元の皆さまのご要望を聞きながら魅力的なツアーを作っていきたい」と述べた。

寄港地側から船社のコンテンツに対する質問として、清水港の鈴木課長が今後の展開として感染症対策を講じやすい、少人数グループの体験型観光をPRしたいとした。加えて「こうした少人数グループのツアーの催行の手配に地元旅行会社が参画する余地はあるのか。そして対象は個人旅行にもなるのか、その場合事前予約はできるか」という問いがあった。


(清水港での代表的なツアー先である三保の松原。写真提供:静岡県観光協会)

これに対し商船三井客船の小出取締役は「いまは感染リスクもあり、寄港地ツアーに出たがらない方もいるかもしれない」としたうえで、この傾向が今後も続くわけではないと考えていると回答。同社では寄港地ツアー込みのクルーズも用意しているという。浜岡支社長はコスタクルーズが運航するのは大型客船のため、寄港地ツアーは事前予約でないと混乱するとした。基本はランドオペレーターと自治体と相談したうえで作っており、自治体の意向を最大限受け入れた形で商品づくりをしたいと語った。

沖縄観光コンベンションビューローの金城部長は「沖縄は世界自然遺産登録を目前にしており、(登録予定の)やんばるや西表を含め、新たなコンテンツ作りに努力していきたい。先に紹介したウェブサイトでも、乗客の訪問地や施設に関して、成功事例を紹介している。こうした成功体験、例えば泡盛の宅配サービスを行う、商業施設のクーポンを配布するなどの情報共有を強化しながら、われわれからも新コンテンツをプレゼンしていきたい」と述べた。

可能性を秘めた北部・本部港の活用

会場やオンラインからの質疑応答の時間も設けられた。質問の中に「邦船3社船内での感染者発生はあったか」という質問があった。これに対し小出取締役は「にっぽん丸に関しては感染事例はない。しかも不思議と事前PCR検査で引っかかる方もいない」と明かした。これについては「乗船を楽しみに体調を整えているのではないか」と推測した。浜岡支社長は欧州の状況について、「自主クルーズにおいては感染者が出てキャンセルした事例はない。チャータークルーズにおいては、1件のみ陽性者が出た」と回答した。これに関して赤井教授は「こうした感染症対策に加えて、ワクチン接種が進むと、より安心なのではないか」と述べた。

続く質問では「本部港は岸壁を延長して大型客船も着岸できるようになる。この本部港のポテンシャル、活用方法についてはどう考えるか」との問いがあった。これに対して小出取締役は「沖縄北部は海の美しさのみならず、やんばるの森などの自然もあり魅力的」と評価した。浜岡支社長は「那覇、宮古島、石垣島、それに本部のあわせて4港をめぐれないかと思っている」と期待を寄せた。これに対して沖縄コンベンションビューローの金城部長は「やんばるの自然についてSNSへ投稿したときには反応が大きかった。今年5月に予定されている世界自然遺産登録に向けて現在活動をしている。船社側にもやんばるの魅力などをプレゼンしていきたい」と抱負を述べた。


(豊かな木々をはぐくむやんばるの森)

閉会を前に沖縄クルーズに対する思いについて、各者からのコメントを求めた。小出取締役は「にっぽん丸では那覇を起点にして島々をめぐる『飛んでクルーズ沖縄』を続けている。コロナでしばらく休止しているが、受入地域の迷惑にならないことを確認してから、ぜひ再開したい」との思いを述べた。浜岡支社長は「コスタクルーズは日本でのオペレーションは1年の約8カ月を計画しており、うち2カ月を沖縄に配船している。沖縄はコスタアジア社の重要な拠点だ」とその重要性を述べた。清水港の鈴木課長は「沖縄は日本の観光のリーダー。日本のクルーズ振興を引っ張っていってほしい」と期待を寄せた。これを受け沖縄観光コンベンションビューローの金城部長は「今回のコロナで大きな影響を受けたが、国が主体になってポートコンソーシアムを作ったり、県でもクルーズ受入協議会が立ち上がったりと、コロナ前よりも各地域の連携が強くなった。これは明るい兆しだ」と述べ、未来に向けて動いていきたいと力強く語った。

盛況のうちに幕を閉じた沖縄クルーズカンファレンス2020。多くの参加者がクルーズ拠点としての沖縄の魅力を再確認するとともに、クルーズ業界の再起の道筋をイメージしたはずだ。難はあれど、沖縄の魅力もクルーズの魅力も不変であると感じた濃密な時間であった。

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