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HOME > 特集INDEX > 沖縄クルーズカンファレンス2020レポート : 沖縄県が目指す、安全・安心なクルーズ船の受入再開
沖縄クルーズカンファレンス2021レポート

小型クルーズ船と沖縄離島の親和性


先の沖縄クルーズカンファレンスでも出た「寄港地観光における観光コンテンツの充実」。特に沖縄は個性豊かな離島を多く擁し、コンテンツ開発の余地があると考える関係者は多い。そうしたコンテンツ開発を促進、検討するための「離島コンテンツ開発セミナー」が沖縄県及び一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の主催で、沖縄クルーズカンファレンス2020の翌日にあたる3月12日(金)に開催された。

沖縄県ならびにOCVBは沖縄を世界水準の観光リゾート地にするべく、小型のエクスペディション船やプレミアム・ラグジュアリー船の離島への誘致を進めている。同セミナーではクルーズ誘致に活用できる高付加価値な着地型コンテンツ開発促進を目的とし、離島代表として南大東島・久米島の各観光協会事務局長、そしてクルーズ船社を代表してポナン社の伊知地亮日本・韓国支社長が登壇、「クルーズ船の受入事例」および「船社からみた魅力的なコンテンツ」をテーマに講演を行った。

まずは沖縄県より沖縄クルーズ観光の概要及び離島へのクルーズ誘致について説明があった。登壇した文化観光スポーツ部観光振興課小納谷研一副参事は、沖縄におけるクルーズの状況を説明、成長する中国市場に近い場所にある沖縄は地理的優位性にあると述べた。課題としては寄港が那覇港や石垣港、平良港に集中していて、小規模な離島にはほとんど寄港がないことを挙げた。また現在、沖縄に寄港する客船はカジュアルクラスと言われる大型船が7割を占めており、こうした客船では寄港地観光のメインが免税店や一部量販店等での買い物となることが多いとした。この課題の対応策として、寄港地観光の幅を広げることで、様々な事業者へ経済波及効果を高める必要性があるとした。それゆえ小型船クルーズによる離島周遊クルーズの誘致により寄港地を分散化させるとともに、寄港地での観光コンテンツ造成により県内事業者への経済波及効果を高めたいと語った。

乗客定員が300人以下の小型クルーズ船(スモールシップ)は、その特徴としてリピーター率が高く、常に新しい目的地、観光素材を求めていることが挙げられる。乗客は欧米系中心で自然・文化、歴史に興味がある。こうした背景により小型クルーズ船は離島地域にも寄港の可能性を秘めているという期待がある。

こうしたスモールシップと離島は、以下のような点で親和性が高いという。

①ゾディアックでの上陸が可能な場合も多く、大がかりな設備投資は不要
②一度の来島人数が少ないため、住民生活への配慮が可能
③離島の魅力をツアー商品として売り出せる可能性が高い
④小型船は航路決定が早く、受け入れ準備に時間をかけられる
⑤乗客は環境に対する意識が高く、自然環境への負荷を抑えたクルーズも多い

沖縄は島嶼部であり、アイランドホッピングも可能だ。加えて亜熱帯の自然や歴史遺産、伝統文化も擁し、こうした点でのスモールシップとの親和性が高く、船社へのプロモーションを促進していきたいと抱負を述べた。

離島における受入体制整備と経済効果

続いて登壇した南大東島村観光協会の桃原祥子事務局長は南大東島の紹介に加え、過去に3回「にっぽん丸」が寄港したときの様子を軸に、離島における客船受入の状況を紹介した。同船の受入にあたり島での対策作りとして、村商工会、村観光協会を中心に実行委員会を発足、以下の部会で受入準備を実施したという。

・ガイド部会→島内観光スポットで案内
・運行部会→移動
・芸能部会→島の芸能を披露
・飲食部会→大東そば&大東寿司を提供
・特産品販売部会→メイン会場で特産品販

にっぽん丸寄港時、各部会の内容として運行部会はテンダーボートが到着後、乗客のメイン会場への移動や、メイン会場から主要観光地である星野洞、日の丸展望台への移動を担った。これには島民が自家用車を提供して無料送迎を実施、すべての車両で沖縄ミュージックや島唄を流すといった配慮を行った。またすべての運転手に「絶対に聞かれるであろう質問と答え」の資料を作成して勉強会を開催したという。ガイド部会ではメインの観光地に説明や案内、安全確保のために人員を配置した。芸能部会では船内や岸壁で伝統芸能を披露。こうした島ならではのアットホームな受入に、セミナー会場からも温かい眼差しが注がれた。

同氏は「特産品をメイン会場に集めることで、驚くほど売れた。5時間の滞在で、島でこんなに経済効果があることに驚いた。こんな小さな島でも受入ができるということを知らせたい」と語った。また受入に対しては当初住民からの反対意見もあったという。これに関し、無記名でアンケートもとっているという。その結果、毎年客船を受入たいという人が増えていると明かした。


(南大東島での受入時の様子。地元グルメをふるまった)

続く(一社)久米島町観光協会の上原一晃事務局長が登壇。まず久米島の概要を説明、東洋一美しい砂浜と言われる「ハテの浜」、「歩ける」国指定天然記念物の「畳石」、また国重要無形文化財「久米島紬」などを紹介した。

同島にも「にっぽん丸」が2016年~2019年にかけて寄港。テンダーボートで上陸するというスタイルをとった。上陸時のおもてなしとして以下のことを行った。

・島のゆるきゃら「く~みん」による出迎え
・琉球太鼓による歓迎演奏
・港での観光案内所の設置
・島内特産品の販売市場を設営

受入の課題としては、2次交通に関すること、すなわち島内の観光バスやタクシーの台数が限られていることを挙げた。加えて観光コンテンツに関することとして、観光客向けの大規模施設がないため、一度に入域できる人数が制限されるとした。こうした背景からも、「にっぽん丸」規模のクルーズ船で、テンダーボートやゾディアックでの上陸が可能であることが望ましいとし、上陸人数も上限300人とした。この点でも小型クルーズ船との親和性がある。新規クルーズ船受入については、歓迎体制の構築、入念なすり合わせ、そして船社との相互の信頼関係の醸成が必要とした。


(久米島にある東洋一美しい砂浜として知られる「ハテの浜」)
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