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HOME > 特集INDEX > 沖縄クルーズカンファレンス2020レポート : 沖縄県が目指す、安全・安心なクルーズ船の受入再開
沖縄クルーズカンファレンス2021レポート

船社から見た魅力的な寄港地、商品設計の指針とは

続いてポナン社の伊知地 亮日本・韓国支社長兼エクスペディション リーダーが登壇。「船社からみた魅力的なコンテンツとは」をテーマに講演した。冒頭、伊知地支社長は大型船と小型船の違いを説明。「大きい方が豪華なのではと思われることがあるが、そうではない」としたうえで、ポナン社の客船の特徴を説明。大型船での平均的な一人当たりの居住空間の広さが6.4平方メートルであるのに対し、同社の平均的な居住空間は10.7平方メートルあることなどを説明した。この小型クルーズ船市場は活況を呈していて、このコロナ禍においても新造船の建造が進められており、乗客キャパシティーは2018年の24万2188人から2022年には50万9862人と倍以上にもなることが紹介された。


(ポナン社が運航する客船。ヨット型のスタイリッシュな外観も評判)

続いて同氏はエクスペディションクルーズ(小型探検)の歴史を紹介。同社は30年を超える運航実績を誇り、毎年200以上のクルーズを運航している。また世界で最も環境に配慮した形で最も持続可能なクルーズを行っていることも説明、例えばクルーズで発生する二酸化炭素の150パーセントをオフセットする、唯一のカーボンポジティブなクルーズ会社であること、全ての訪問先で事前の環境影響調査を行うことなどの同社の取り組みを紹介した。

加えて商品設計の指針として、以下の大前提があることも挙げた。

→訪問予定地は商品発表前に必ず事前訪問し、観光内容の調査、また地域からの同意形成を図る
→地元事業者と積極的に連携を図る
→地域の特産品を積極的に船内消費用に仕入れる
→地域の特産品、伝統工芸品を積極的にお客様に紹介する
→地域の文化・教育への貢献を目指す

同社の乗客についても解説、一日客単価600ユーロの旅行、一回の旅行で夫婦で約250万円~の予算が確保できる夫婦であるとし、こうしたラグジュアリークルーズの乗客が好む傾向として以下を挙げた。

・コロナ以前から3密は避けるべき傾向 (狭い空間、行列、ビュッフェ…)
・他では出来ない体験、経験が求められる
・他でも出来る事なら個人のペースで観光することが好まれる
・地域の伝統食、芸能、文化に対する関心が高い
・旅行を通じた社会貢献、環境影響の低減が求められる
・オールインクルーシブを好む
(クルーズ代金には乗船費、全ての飲食、基本の観光が含まれる)

同氏は「ラグジュアリークルーズは基本がインクルーシブ」と説明する。だからこそ乗客は船社に対して魅力ある寄港地である品質保証を求めること、上陸中の観光・体験の満足度がクルーズの満足度と連動することなどを語った。そのためには上陸内容の良質化を図る為に予算を作ることもあり、地域と協働して魅力を創る必要性もあるとした。


(ポナン社の運航客船内のレストラン。運航地域の食材も多く提供される)

またこうしたラグジュアリークルーズの港選定で気にすることを以下に挙げた。

●産業港は極力避ける
 →港を海からの玄関口として景観を意識しているか
 →景観の悪い港=顧客満足度に影響する
 →街の中心に近い港を好む(小型船の強み)
 →古い街並みが残る港や整備された港を好む(地中海で定着したモデル)
●着岸が無理ならテンダーボートかゾディアックでの上陸を検討する
●港から観光コンテンツまでの動線を考える。上陸後の長時間移動は避けたい
●自由行動も可能

日本の港に関しては、海からの景観を意識しているところが少なく、その点を課題として挙げた。また観光(見る)、体験(触れる)、味わう(ご当地グルメ、食材)といったテーマに分けてすべてそろうのか、一点に絞ったコンテンツに特化するか、メリハリのあるコンテンツ整理が大事だとも解説した。

沖縄県の離島におけるポテンシャルとしては、以下のことを挙げた。

●のどかな離島の雰囲気を味わう
 ―伝統的な雰囲気の集落が残っている
 ―静かな道での散歩、サイクル
 ―島の人との交流
●美しい海へのダイレクトアクセス、マリンアクティビティ
●島の特産物を堪能する
●文化体験、芸能鑑賞
●混雑が予想される場合、観光時間をずらす形で価値の向上を図る

すなわち不便な島こそラグジュアリークルーズのポテンシャルがあるとし、富裕層向けの経済活動をどう作り上げるかというのが課題であるとした。沖縄では美しいビーチが特徴のひとつに挙げられるが、多くの離島が美しいビーチを擁すため、プラスアルファの要素、特に他の島に無い特徴を見出すことが必要とした。

同社が2021年に予定していた大阪発の世界初の沖縄エクスペディションは発売と同時に日本の旅行会社からの買い注文だけで完売も、コロナ禍で運休となったことも明かした。同クルーズでは座間味や久米島にも入港予定で、座間味では本船、座間味村、ガヒ島の3地点をゾディアックで結ぶ計画があった。久米島ではゾディアックにてハテの浜に上陸する計画もあったという。

同セミナーでは離島ならではの受入ができる可能性が示されるとともに、その課題も明らかになった。47もの有人離島を擁す沖縄は、まだまだ新たなコンテンツの開発の可能性を秘めている。それをいかに発掘し、活かしていくか――その第一歩が踏み出されたのが感じられるセミナーだった。

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